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ご当地缶詰 防災、地域食材、健康志向の波に乗る

日経BPヒット総研 渡辺和博

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日経BPヒット総合研究所
エンターテインメント、トレンド、健康・美容、消費、女性と働き方をテーマに、ヒット案内人が世相を斬るコラム「ヒットのひみつ」。今回のテーマは、缶詰。防災グッズとしての人気に加え、地方の食材を使ったものが注目されている。健康志向や個食の流れも追い風だ。

熊本地震の影響もあって、防災用品への関心が高まっている。インターネット通販では防災用品は売り切れが相次いでいる。防災意識の高まりと地方創生の動きの両方の観点から注目されているのがご当地缶詰だ。

ご当地缶詰とは全国各地の食材を缶詰にしたもので、以前からある。多くは、地域の食材を土産ものとして持ち帰れるよう缶詰にしたもので、食材が高級ならば価格は高く、手軽な食材ならば安い。高い例では、青森土産として知られる「味の加久の屋」(青森県八戸市)のいちご煮[注]缶詰は1缶1500円程度で、同社のバフンウニの缶詰は3000円以上もする。

[注]ウニとアワビを煮こんだもの

津波34mの予測を逆手に取って防災用缶詰開発

今回紹介したいのは防災というキーワードを最大限に生かした高知県黒潮町の黒潮町缶詰製作所の缶詰だ。太平洋に面する高知県黒潮町は、南海トラフを震源とする地震で発生する津波の高さの試算において、最大34.4メートルと全国一の高さの津波に襲われるという予測となった。津波被害が想定される地域だということを逆手に取って、防災面で他の地域をリードするというブランド戦略を掲げた。

そのブランド戦略に基づいて町が第三セクター方式で事業を立ち上げたのが黒潮町缶詰製作所だ。同社の社長を町長が兼務している。商品のブランドロゴにも津波の高さにちなんで「34M」と記された旗を掲げている。

ここで作る缶詰は、単に地域の食材を使った商品ではない。あくまでも防災視点という商品コンセプトを徹底している。現在6種類の防災備蓄缶詰と、日常的に食べることを想定した7種類の缶詰と2つのシリーズを発売している。

防災備蓄シリーズは「2種類のお肉のすき焼き」「野菜とひじきのあまから煮」「野菜のあまから煮シイラ入り」「お魚のパテ」「つぶつぶコーンと10種類の野菜スープ」「栗ぜんざい」の6商品で。自治体や企業の備蓄を想定して、栄養士が監修し、主菜、副菜からスープ、甘味までをそろえている。

東日本大震災の避難生活者の教訓を踏まえて、甲殻類や蕎麦、卵、小麦など主要な7つのアレルゲンを使わずに作ったという。

もうひとつのシリーズは、「サワラと筍のアヒージョ」や「トマトで煮込んだカツオとキノコ」など、20~40代の都市部の多忙な働く女性をターゲットに、地元の食材をより強くアピールする商品コンセプトになっている。価格は302~442円と普段遣いができる設定だ。

大手メーカーも地域食材缶詰を続々商品化

大手メーカーも、地域の食材を使った缶詰を次々と商品化している。普段遣いでありながら酒のつまみとしてやや高級な商品と位置づけている。

国分の缶つまシリーズは、広島県産カキや北海道噴火湾産ホタテなど、産地を特定して価値を高めた商品をそろえた。価格は食材によって数百円から1000円を超えるものまで幅広い。なかには福岡県産筑紫金ウナギのかば焼きのように2000円もするものがある。

一方、明治屋もおいしい缶詰シリーズで焼津まぐろや、瀬戸内産いかなご、九州沖天然ぶりなど、地域の高級食材を打ち出すようになっている。こちらの価格は500円前後と普段遣いを意識した設定だ。

そもそも地方の食材と缶詰は相性がよい。缶詰メーカーにしてみればサバやマグロなどサンマなどありふれた食材の缶詰はもはやスーパーの特売アイテムで、価格競争がきびしい商品だ。地域発のこだわりの食材の味やブランド力をたよりに、より高価な商品を企画することができる。

生産地にとっては、季節変動が大きい農産品や水産品は、保存がきく形に加工して、加工食品として都市部の市場に送りたい。

一般的に賞味期限を延ばすためには塩分や糖分を高くするか保存料を加えるなどする必要がある。

缶詰なら製造過程で加熱殺菌するため、保存料を添加する必要がなく、塩分や糖分を減らすこともできる。もとの食材の味を生かして薄味に仕上げられる上、賞味期限も3年程度と格段に長く設定できる。

団塊世代が70歳を超え、団塊ジュニアも40代なかばを迎えて、世の中の食トレンドが健康重視となるのは缶詰にとって追い風だといえる、また、一世帯あたりの人数が平均で2.4人程度にまで減少したことを考えると、同じ料理を大量に作って家族で分かち合うスタイルよりも、それぞれが個別に食べたいものを食べる個食の傾向がさらに強まると予想される。こうした流れにも缶詰はフィットしている。

健康志向で多忙な働く女性や共働き家族などに受ける要素がそろっている。コンビニがレトルトの総菜のバリエーションを増やしているのもこの市場を狙っているように、この先も、缶詰は地方の食材を使った商品が幅広く登場してくると予想される。

渡辺和博(わたなべ・かずひろ)
日経BPヒット総合研究所 上席研究員。86年日本経済新聞社入社。IT分野、経営分野、コンシューマ分野の専門誌編集部を経て現職。全国の商工会議所などで地域振興や特産品開発の講演やコンサルを実施。消費者起点をテーマにヒット商品育成を支援。
[参考] 日経BPヒット総合研究所(http://hitsouken.nikkeibp.co.jp)では、雑誌『日経トレンディ』『日経ウーマン』『日経ヘルス』、オンラインメディア『日経トレンディネット』『日経ウーマンオンライン』を持つ日経BP社が、生活情報関連分野の取材執筆活動から得た知見をもとに、企業や自治体の事業活動をサポート。コンサルティングや受託調査、セミナーの開催、ウェブや紙媒体の発行などを手掛けている。

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