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チリで大量死が続発、サケ養殖が一因か

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

ここ数週間、チリ南部から続けざまに大量死の報告が届いている。最初は、養殖場のサケが大量死。次に、大量のイワシが沿岸に浮かんでいた。続いて貝類が何マイルにもわたって海岸線に打ち上げられ、さらにクラゲや鳥、哺乳類までもが死体で発見されている。

死のまん延で、人々の間にはパニックが広がっている。漁師らは生活への危機感から、通りをふさいで抗議行動を起こした。「汚染を恐れて、誰も魚を食べません。島民全員が影響を受けています」と、チリ南部、チロエ島の主要都市の1つ、ケジョンの漁協で組合長を務めるマルコス・サラス氏は嘆く。

チリ政府は、この海の大量死の原因を「有害藻類ブルーム」、いわゆる赤潮であると公式に発表している。強力なエルニーニョによって太平洋の海水温が上昇したことで起きた現象だが、今回の有害藻類ブルームは同国でも最悪の事態に発展している。政府はこれを受け、同国南部に災害事態宣言を発令し、影響を受けた世帯に10万ペソ(約1万5000円)を支払っている。

しかし、それでは不十分だと漁師らは口をそろえる。現在チリ南部で起こっている赤潮は通常よりずっとひどく、原因の一端は養殖ブームに対する国の規制の甘さにあるというのが彼らの主張だ。強硬派は政府による回答と援助を求め、チロエ島へのアクセス封鎖に踏み切った。

赤潮の複雑な原因を解き明かすことは容易ではない。とりわけ、科学的なモニタリングが綿密に行われていない、あるいは調査のための十分な支援を得られていないチリにおいては難しいだろうと、チリ野生生物保全学会理事長のバーバラ・サーベドラ氏は言う。「この問題の研究には、十分な資源が割り当てられていません」

原因はゴジラ級エルニーニョか、養殖サケか

問題の根底にいるのは微細な藻類だ。それは光合成をする微生物であり、貝類やその他の動物の餌として、海の食物連鎖における重要な役割を果たしている。しかし、微細藻類は時として、爆発的に繁殖する。そのための条件は様々だが、水温や栄養、塩分、光、海流に関連すると考えられる。

微細藻類の種類によっては、人体に有害な毒素をもつことがある。毒素は貝などの組織内で濃縮され、それを人や動物が口にすると、深刻な病気、場合によっては死すら招くことがある。

2016年は、世界中で有害藻類ブルームが発生している。しかもあまりにも強力なため、「ニーニョ・ゴジラ」と呼ぶ者もいるほどだ。チリ海洋生物学者連盟は、「地理的な範囲、成長レベル、期間のどれをとっても、チリがこれほどのブルームを経験したことはない」と報告している。

今年2月から3月にかけての有害藻類ブルームで、チリの45カ所の養殖場で2500万匹のサケが死亡した。その次に起こったことが、物議をかもすことになる。

死んだサケのおよそ3割は埋め立てに使われたものの、残りがチロエ島からおよそ130キロ離れた海に捨てられたのだ。この行為は、チリ海軍や漁業関係の経営者らによる承認を得ていた。

その数週間後、死亡した海洋生物がチロエ島に大量に打ち上げられた。政府はエルニーニョのせいと主張しているが、島民の多くは、死んだサケを海に捨てたことが関係するのではないかと疑っている。これは1970年代に爆発的に普及した水産養殖業に対する、国の規制の甘さを示す一例に過ぎないと島民は言う。なお、チリは現在、世界第2位のサケの輸出国である。

環境保護活動家は長年にわたり、チリの水産養殖によって海底に蓄積される糞便や餌の食べ残しが、海水を汚染していると主張してきた。

米カリフォルニア州立大学やチリ大学と共同研究をしている海洋学者、ビクター・マリン氏は、死んだサケが本当に赤潮の原因であるとは明言できないものの、関係している可能性はあると述べている。

「廃棄が行われたタイミングは、まさにブルームにうってつけの条件でした。この海域の栄養素の量、温度、他の変数が最適だったのです。海水の栄養素の増加をサケ業界のせいと断定することは困難ですが、チリ社会は他にもたくさんのものを海に捨てており、相乗効果が及んだのかもしれません」

先行き不安

有害藻類ブルームの問題の1つは、解消に時間がかかることだ。チロエ島周辺の海水が軟体動物やその他の自然プロセスによって解毒され、海産物を人間が食べられるようになるまで何カ月もかかるだろうと、チリ、コンセプシオン大学の生物学者パトリシア・ゴメス氏は言う。

しかし、アレキサンドリウム・カテネラ(Alexandrium catenella)など一部の有毒な藻類は、ブルームが終わった後も海底に固着し、最適な条件が訪れたときに再び大量発生する可能性がある。その予測は難しいとゴメス氏ら科学者は警鐘を鳴らす。

「私たちは、生態系をよりしっかりと保護・管理し、海を回復させようと努める必要があります。さもないと、もっと多くの地域が絶望的な状況に直面することになりかねません」

(文 Evelyn Pfeiffer、訳 堀込泰三、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2016年5月23日付]

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