PCやスマホの画面を無線で飛ばすMSの新製品
マイクロソフトから、ワイヤレスディスプレーアダプターの新製品「Wireless Display Adapter」が発売された。
ディスプレーアダプターとは、ノートパソコンを外付けのディスプレーに接続して、画面を出力するための装置。普段はモバイルノートを持ち歩くにしても、オフィスに戻ったら大画面のディスプレーと接続して使えれば便利だ。あるいは、外出先で大きなディスプレーを借りてプレゼンしたいときなどにも役立つ。
ディスプレーアダプターはVGA端子、最近ではHDMI端子などにケーブルで接続するのが一般的だが、いちいちケーブルをつなぐのは面倒だ。そこで、ディスプレーと無線でつなげるワイヤレスディスプレーアダプターの登場となるわけだ。キーボードやマウスもBluetoothで接続すれば、一切ケーブルを使わずにモバイルノートを大画面で使えることになる。
しかも、今回取り上げるこのワイヤレスディスプレーアダプターは、直販で6980円。ノートパソコンを外部ディスプレーにつなぐためにHDMIケーブルを買っても2000円くらいするのだから、この製品が便利だったら、5000円くらい予算を追加してもいいかもしれない。
USBからの給電は便利なのか不便なのか
ワイヤレスディスプレーアダプターは、Windows 8.1以降のパソコンや一部のAndroidスマートフォンなど、ワイヤレスディスプレー規格「ミラキャスト」に対応した機器なら使用できる。マイクロソフトのこの製品で特徴的なのが給電方法だ。以前、同じコンセプトの他製品を使ったことがあるのだが、給電にはACアダプターを利用していた。
それに対してこの製品は、片側をディスプレーのHDMI端子に接続し、反対側を同じディスプレーのUSB端子に接続することで給電する仕組みになっている。ただ、これが便利かは実は微妙なところだ。薄型テレビのように、それぞれの端子が近くに配置されていればすっきり収まるのだが、パソコン用のディスプレーには、そもそもUSB端子を搭載しないモデルも少なくない。また、USB端子があったとしても、HDMI端子から遠いと延長ケーブルが必要になる。
僕のディスプレーは、USB端子を搭載しないモデルだったので、今回は給電用にスマートフォン(スマホ)用のモバイルバッテリーを別途つないでみた。端子の状態が分からない外出先などで利用する場合は、こういった準備もしておくといいだろう。自宅や会社で使うなら、コンセントからUSB機器に給電できるUSB電源アダプターを用意すればいい。
モバイルノートは問題なく接続できた
ワイヤレスの設定は、Windows 10の設定メニューを開いて、「ディスプレイのカスタマイズ」で「ワイヤレスディスプレイに接続する」をクリックし、表示されたワイヤレスディスプレーアダプターの型番を選択するだけだ。
接続後は、外付けディスプレーにノートパソコンと同じ画面を表示する「複製」か、マルチディスプレーとして使う「拡張」かを選ぶ。今回はSurfaceの1つ前のモデル「Surface Pro 3」と「Let's note SZ5」でも試してみたが、表示の遅延などもほとんどなく利用できた。
スマホの接続ではつまずいた
スマホをつなぐ場合も、ワイヤレスディスプレーのメニューから設定できる。GALAXY Note Edgeでは、通知メニューから「クイック接続」を開けばOKだった。ただし、機種によってメニューの表現が違っていたりするので注意してほしい。
GALAXY Note Edgeは問題なく接続できたのだが、ZenFone 2はうまくいかなかった。ミラキャスト対応の他社の製品を使ったときは逆で、ZenFone 2はつながったのに、GALAXY Note Edgeはダメだった。ミラキャストにはまだまだ"相性"があるようなのだ。ワイヤレスディスプレーアダプターを買うときは、製品のWebサイトで対応する機種やOSを確認してからのほうが確実だ[注]。なお、ミラキャスト非対応のiPhoneではそもそも使えないので念のため。
スマホの画面をディスプレーに映したいなら、「Chromecast」などのメディアストリーミングデバイスを使う手もあるが、ワイヤレスディスプレーアダプターの場合は、ノートパソコンのディスプレーでも利用できるというメリットが見逃せない。
GALAXY Note Edgeを接続したときは、外付けディスプレーに縦長の画面が表示されて妙な感じだったが、スマホを横表示にすれば、YouTubeの動画などをフルに表示できる。電波状況にもよるのだろうが、こちらもほとんど遅延は感じられなかったので、実用性は上々だといえる。
外出先で、スマホのアプリなどを利用したプレゼンテーションをしたい人には、ワイヤレスディスプレーアダプターは間違いなく便利だろう。僕もプレゼン用に購入したいと考えている。
1963年生まれのビジネス書作家。著書は120冊以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。
[日経トレンディネット 2016年4月19日付の記事を再構成]
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