寝耳に「ヴォーッ」 実用重視の「めざましイヤホン」
キングジムは内蔵モーターの振動で時刻を知らせるイヤホン、「めざましイヤホン NMR10」を2016年4月22日に発売した。実勢価格は約6000円。振動で時刻を知らせるので、電車や図書館といった音を出しにくい環境でも安心して使えるのが特徴だ。実用性や使い勝手はどうなのかを検証してみた。
単体で音楽再生にも使える
「めざましイヤホン」の本体は、普段は時刻を表示するモノクロの液晶と、アラームやタイマーを設定する4つの操作ボタンで構成されている。カラーはホワイト。振動モーターを内蔵したイヤホン部はコードで本体に固定されている。コードの色も本体に合わせたホワイト。長さは約1.2mあり、本体をカバンなどに入れたままでも問題なく使用できる。また、イヤホンは使用しない時に本体に巻き付けて収納可能。耳に入れる部分も本体の端にかっちりと収まる。
イヤホンコードが出ている反対の側面には外部入力端子がある。携帯音楽プレイヤーやスマートフォンと接続すれば、音楽などをイヤホンで聴くことができる。もちろん、音楽再生中にも振動のアラームは作動するし、音楽プレイヤーをつながなくても、単体でアラームとして使用可能だ。
「めざまし」はアラームとタイマーの2通り
「めざましイヤホン」の「めざまし」にはアラームとタイマーの2つの機能がある。
まずはアラーム機能から説明しよう。一般的な目覚まし時計と同じように、時刻を設定し、その時刻になるとイヤホンが振動する。電車での移動中であれば、下車する駅に到着する数分前に合わせて設定することになる。設定手順は、まず「■」ボタンを押して設定画面に移行。現在時刻が表示されるので、「▲」「▼」のボタンを押して時間と分を指定する。
設定できる時刻は1つだけである。また設定は保存されないので、同じ時刻を繰り返し設定する場合も、その都度時刻を指定しなければならない。
タイマー機能は、設定した分数をカウントダウンし、0になるとイヤホンが振動して知らせる。「1時間後に出発しなければならない」「30分間作業に集中する」といった用途が考えられる。「●」ボタンを押し、00分00秒の状態から、「▲」ボタン(10分)と「▼」ボタン(1分)で設定したい分数にまで増やしていく。
設定可能な分数は1分単位で、最大99分つまり1時間33分後まで。設定を完了するとカウントダウンがすぐに始まる。カウントダウンを一時停止することはできないが、「▲」「▼」ボタンで分数を変更することは可能だ。
タイマー機能はアラーム機能とは異なり、前回設定した分数が記憶されているので、同じ設定時間を繰り返し使用する場合も手間はない。
振動の強弱は3段階
イヤホンが振動すると、耳もとで「ヴォーッ、ヴォーッ」と響く。音楽を聴いていても確実に気づくだろう。耳は敏感な部位であり、寝耳に水という言葉もあるように、大多数の人は眠っていても目覚めるはずだ。ただし、布団で横になって眠る場合は、寝返りなどで耳からイヤホンが外れてしまう可能性がある。
イヤホンの振動は3段階で調節可能。設定スイッチは電池カバーを開けたところにある。好みや状況(起きているか眠っているか)で変更すればよいだろう。振動は10秒間続き、自動でストップする。
ちなみに、イヤホンを耳に入れずに机の上に置いたままアラーム・タイマー機能は使えるか試してみた。スマートフォンのバイブよりは弱いものの、静かな環境では机に振動が響く音が聞こえた。ステンレスのキッチンの上ならキッチンタイマーとして使うこともできそうだ。
必要な人には届くアイデア製品
正直、イヤホンとしての音質は高いとは言えない。だが、音にこだわりがなければ、普通に音楽を楽しむこともできるだろう。個人的には、電車の中で使うのであれば、ノイズキャンセリング機能を付ければよいのにと思ったが、6000円という価格を考えればあり得ない話だ。だが、音楽の再生・一時停止、音量調整ぐらいはできてもよいと思う。
"音楽も"聴けるイヤホン型の目覚ましと考えたほうが不満は起きない。音にこだわりがあるなら、「めざまし」機能が不要な時はいつものイヤホンを使えばいいのだから。
もうひとつ気になりそうなのは、本体のサイズだ。一見、携帯音楽プレイヤーかと思うぐらいイヤホン製品としては大きい。ただ、本体はコードを巻き付けられるようになっており、収納はしやすい。電車の中で使用しているときであれば、すばやくコードを巻き取ってポケットなどに放り込める。
また、途中まで巻き付けた状態にすれば、胸ポケットなど頭部に近い場所に入れても余ったコードが邪魔になることがない。イヤホンを目覚ましに使うというアイデア、そして見た目よりも実用性を重視しているキングジムらしい製品と言えるだろう。
(ライター 小口覺)
[日経トレンディネット 2016年4月18日付の記事を再構成]
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