美顔器、「爆買い」の象徴へ 小型家電が外国人に人気
炊飯器、「かまど炊き」様式が伸びる
外国人観光客の日本製家電人気は健在だ。政府観光局によると、2015年の訪日客の消費額は3兆4771億円。そのうち、4割にあたる1兆4174億円が中国人による買い物だ。1人あたりで約28万円と、全体平均より10万円強多い。爆買いの象徴といえば1台10万円近くする高級炊飯器や温水便座。これまで大物が目立っていたが、最近は美顔器など小型家電の売れ行きも好調だ。
売れ筋の上位機種、2万~3万円で推移
4月の週末、外国人の買い物客でにぎわう都内の家電量販店を訪ねた。肌の汚れを取り除いた後に化粧品の美容成分を浸透させる効果が見込めるイオン導入機能を備えた商品が目立つ。
マッサージや温熱の作用もある売れ筋の上位機種は店頭価格が2万~3万円で推移している。多くの機種は100~240ボルトまでの電圧に対応。海外でも使用可能だ。
美容家電大手のヤーマンの「HRF-10T」(3万9500~3万9960円)は肌を活性化するとされる赤色発光ダイオード(LED)機能が付く。「外国人にも人気で在庫切れが多い」(ヨドバシカメラ新宿西口本店=東京・新宿)。価格は下がりにくい。記者が訪ねた当日も団体旅行客とみられる中国人の質問に多言語が話せる店員が対応していた。
パナソニックの「EH-ST63」(2万7千円前後)は日差しが強まるこれからの季節に適した機能が売りだ。ビタミンCを含む化粧水を肌に浸透しやすくするという。同社の旧型製品「EH-ST51」より約1万円高い。
男性も購入
豊島区の量販店では「男性も購入している」との声があった。機能を抑えた1万円台の製品も多い。富士経済(東京・中央)によると、美顔器の販売市場は14年に85億円程度。外国人観光客がけん引する格好で前年より1割ほど増えたようだ。
定番の炊飯器。一般に変圧器が無くても海外で利用可能な機種は同じ性能の国内仕様に比べ2倍ほど高いものもある。中国向けの220ボルトに対応する炊飯器はタイガーや象印など大手各社が販売している。
「コメ、よりおいしく食べたい」
上位機種で、コメに熱が伝わりやすい昔ながらの「かまど炊き」様式を模した製品が増えている。「主食のコメはよりおいしく食べたいとの要望は高まっている」(エディオンAKIBA店=東京・千代田)。
日立アプライアンスの「RZ-WW5000Y」は内釜が熱伝導に優れたアルミ合金で軽いうえ、外部への蒸気排出を削減。海外でも使用可能な220~230ボルト仕様だ。価格は15万円程度で販売されている。
「『かまど炊き』タイプは今夏の新商品投入時に中位機種へも広がりそうだ」(ビックカメラ池袋本店=東京・豊島)。モデルチェンジを控え、現在は価格が下がりやすい時期という。
日本電機工業会(同・千代田)によると、15年度の国内出荷は数量、金額が前の年度に比べそれぞれ7%、16%増えた。緩やかな景気回復に伴い、「買い替え時にワンランク上の商品を勧めやすくなった」(ビックカメラ池袋本店)との声が聞かれた。
(商品部 高野壮一)
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