声優の役者魂に感嘆 スマホゲーム通じて名曲に出合う
こんにちは。トレンドコラムニストのヨダエリです。前回は、アニメやゲームは音楽好きにとって無視できない存在なんですよ!ということを、ワタシが衝撃を受けた曲たちを挙げつつ語らせていただきました。今回は、その続き、というか本題に突入。近年人気がグングン高まっている女性向けスマホゲームの中から、ワタシのイチオシゲームと、その音楽を紹介します!
●『あんスタ』『夢キャス』『ときレス』
ワタシが毎日欠かさずプレーしているスマホゲームが3つあります。『あんさんぶるスターズ!』『夢色キャスト』『ときめきレストラン☆☆☆』です。それぞれの略称は『あんスタ』『夢キャス』『ときレス』。
『ときレス』はサービス開始時の3年前からプレーしています。登場時期も含めてこの1年以内に登場したゲームとは別枠ととらえる人もいるかもしれませんが、最近の女性向けスマホゲームの特徴の一つである「恋愛部分も楽しいがそれ以外も楽しい」を早々と形にしていたゲームだと個人的には思っています。
3つのゲームの概要は、こんな感じです。
『あんさんぶるスターズ!』
中国に本社を持つハッピーエレメンツ社の日本法人が手がけるアイドル育成プロデュースゲーム。アイドル養成学校・夢ノ咲学院にプロデューサーとして転校してきた唯一の女生徒として、男子高校生33人との青春物語を楽しめる。アイドルたちが所属するユニットごとに発売されたCDは、オリコンデイリーチャート1位や2位にランクイン。4月にはコミックも発売になり、6月18日からは舞台もスタート、来年にはテレビアニメも放送開始予定と、女性向けスマホゲーム・シーンをけん引する存在。
『夢色キャスト』
セガがレコード会社ランティスとタッグを組んで手がけるリズムゲーム。7人のメーンキャラクターはミュージカル劇団に所属する団員で、キャストと呼ばれる。プレーヤーである自分は、そこに入団した脚本家。リズムゲームに挑戦しながら、夢に向かって切磋琢磨するキャストとの青春ドラマや恋愛ドラマを楽しめる。ミュージカルを題材にしているだけあり、音楽の質が非常に高く、初心者から上級者までレベルに応じて楽しめるリズムゲームもプレーしていて気持ちがいい。
『ときめきレストラン☆☆☆』
コナミが2013年3月14日にスタートさせたアイドルとの恋愛+レストラン運営ゲーム。プレーヤーはレストランの店員。家具を集めて店を好みの内装にしたり、客に交じってたまに訪れる6人のアイドルたちを好物レシピで満足させたりしながら、彼らとの胸キュンエピソードを楽しめる。14年に運営はコナミからコーエーテクモゲームスに移管。3周年を迎えた今年3月には初のバーチャルライブが大盛況となるなど、根強いファンに支えられている。8月には横浜のDMM VRシアターで、2度目となるライブ開催も決定。
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……というわけなんですが、ワタシが数ある女性向けスマホゲームの中から、なぜこの3つをプレーしているのか。ひとことで言うと、「ビジュアルがいい・ゲームが楽しい・音楽がいい」。これに尽きます(もちろん人それぞれ好みはあると思いますが)。
ゲームごとに言うと、『あんスタ』は、安定感抜群のキャラクターデザイン、変人図鑑のようなアイドルたち、ライトな見た目に反して熱い脚本。『夢キャス』は、ハッとさせる音楽、歯ごたえのあるリズムゲーム、全てにおいて奇をてらわず丁寧に作られているところ。『ときレス』は、2次元なのにリアルなキャラクター、やり始めたら止まらない店のレイアウト、胸キュンと爆笑が同居する脚本。が、それぞれ魅力だと感じています(本当はもっといろいろ語れますが、それぞれの個性が伝わりやすいよう、あえて3点に絞りました)。
3つのゲーム、それぞれに全くベクトルが違います。だからこそ並行して3つとも楽しんでいるとも言えます。
●女性向けスマホゲームの、この曲を聴け!
では、3つのゲームの音楽からワタシのイチオシ曲を紹介します。
あんさんぶるスターズ!
「Melody in the Dark」
作詞:Mel* 作曲・編曲:原田篤(Arte Refact)
夢ノ咲学院で最も過激で背徳的とうたわれる4人組ユニット、UNDEADのシングル曲。ダークで野性的というユニットのコンセプトと曲の世界観がガッチリ一致。ブレのないUNDEADワールドを確立している。CDに収録されている2曲のうち「Melody in the Dark」はゴシック風味のメタルコア。疾走感あふれるサウンドと、どんどん変化していくギターアレンジに思わず前のめり。作曲・編曲を手がけ、おそらくギターも演奏している原田篤氏の熱が伝わってくる。
「ハニーミルクはお好みで」は哀メロと浮世離れした歌詞、どこかレトロなムードが印象的。4人の安定感ある歌声はユニゾンでも心地良く、2曲を聴き終えたころには「We Are UNDEAD!」と一緒に叫びたくなること必至。
夢色キャスト
「CALL HEAVEN!!」
作詞:畑亜貴 作曲・編曲:渡辺未来
キャスト全員で歌う、夢キャスの主題歌ともいえる曲。印象的なイントロのリフ、起伏に富んだ心地よいメロディー、情感あふれる丁寧な歌唱。2度3度聴くうちにどんどん好きになる中毒性がある。曲全体に優しいポジティビティーがあふれており、"Welcome song"と歌われる通り、ウェルカムされてる感がハンパない。ブリッジ部分、「瞬間の愛が本気に変わる」の胸をまっすぐ射抜くような気持ちよさ、そこからエンディングまでグングン厚みを増すグルーヴ。こういう曲に出合えるから、これからもゲームをやっていこうと思えてくる。
蒼星、陽向、仁の3人が歌う「PERSONA+MYSTERY」は、一転してダークで情熱的(同じアルバムに収録。作曲は佐伯高志氏)。特に、蒼星の声を担当する豊永利行氏による、爆発寸前の感情を持て余すかのような歌唱が素晴らしい。"それでも会いたい"ではなく、"それでも会いたいよ"にする畑亜貴さんの語尾へのこだわりにもうなった。この一文字で、曲の持つ世界が一気にリアルで切実なものになっている。
ときめきレストラン☆☆☆
「YOU+I =Love(辻魁斗センターver.)」
作詞:大内正徳 作曲:平田祥一郎
「王子たれ!」が合言葉の3人組、3Majestyが歌うポップなミディアムナンバー。恋のよろこびが弾けるような前奏で一気に曲の世界に引き込まれ、甘いフレーズの合間に散りばめられた"割り切れない""カッコつける"など数学をもじった言葉にうまいこと言うなぁと感心させられつつ、キラキラ感炸裂のサウンドと迷いのない歌唱にグイグイ持っていかれる。メロディーの良さに加え、終盤のサビで響くオブリガート(対旋律)など、随所に施された味付けも最高。ボーカルを目立たせるために演奏を引っ込めるのではなく、演奏も主張した上で調和させているところも、歌だけでなく曲全体でカタルシスを感じたい派にはたまらない。
この曲が両思いの歌だとするなら、同じCDに収録されている「Show Up!」は、恋の始まりの歌。どちらも、優しくて少し強引な王子を、歌詞はもちろんのこと、甘く力強い音でも表現しきっている。
……曲の魅力が伝わるよう頑張りましたが、百聞は一聴にしかず。ぜひ一度、音源を聴いてみてください。公式動画でさわりは聴けますが、ぜひイヤホンかヘッドホンでCDを!
●ゲームを通じて名曲に出合える喜び
それぞれの音楽について補足します。まず、『あんスタ』。全部で9つのアイドルユニットがあります。Trickstar、Knights、流星隊、UNDEAD、紅月、fine、Ra*bits、2wink。後から追加されたユニットValkyrie以外は、CDが発売になっています。全ての楽曲を手がけているのはArte Refactという音楽制作チーム。Trickstarは王道アイドルポップ、2winkはEDM、紅月は和風ロックというように、ユニットによってテイストやジャンルが全く違うので、自分好みのユニットを見つける楽しみがあると思います。
続いて『夢キャス』。「CALL HEAVEN!!」の作曲・編曲は渡辺未来さん。山下智久「抱いてセニョリータ」をはじめ、アイドルや声優などの曲を多数手がけています。
歌詞は畑亜貴さん。この曲を含む『夢キャス』の全ての曲の歌詞を手がけています。で、実は、前回語った「ハレ晴レユカイ」や「Aggressive Zone」の作詞も畑さんです。アニメでハッとする曲があると、そこに畑さんの名前があることが多いです。使っている単語はシンプルなのに、言い回しにオリジナリティーがあり、心に残ります。『夢キャス』はとにかく音楽がいい。それも、聴けば聴くほど味が出る曲揃いです。
最後に『ときレス』。「YOU+I =Love」を作曲した平田祥一郎さんはSMAPの「Dear Woman」を作曲した人です。資生堂TSUBAKIのCMソングでしたよね。歌詞を手がけた大内正徳さんは、アイドルグループ私立恵比寿中学の曲などで作詞だけでなく作曲や編曲も担当しています。
2次元アイドルの曲を、3次元アイドルの曲を手がける人たちも作る。垣根はどんどんなくなっています。アニメ界で既に有名だった菅野よう子さんが今ではSMAPやNHKの連続テレビ小説の曲なども手がけるように、2次元の曲が評価されて3次元に進出する人は今後も現れるかもしれません。ちなみに菅野さんが手がけた『マクロスFrontier』や『創聖のアクエリオン』の曲は、声優ではない人も歌っているので別枠とみなし今回は取りあげませんでしたが、どちらも素晴らしいです(言うまでもないですが)。
●なぜわざわざアニメやゲームの音楽を聴くのか?
先日、「女性向けスマホゲームの音楽がいいんだよ」と友達に話したところ、「どういうところが魅力なの?」と質問されたので、こう答えました。
「キャラクターになりきって歌う声優さんの表現力や役者魂に感嘆するし、才能のある作詞家や作曲家ってこんなにいるんだと気付かされる。ワタシの知らない才能がここにも、そしてここにも!って」。
勢いのあるジャンルには才能が集まってきます。また、メーンストリームじゃないからこそ新しいことやエッジィなことに挑戦しやすい。そういった背景も、アニメやゲームの音楽の面白さにつながっていると思います。
最後に、ワタシの推しキャラを全世界に向けて発信。『あんスタ』はアドニス、『夢キャス』はカイトさん、『ときレス』は京也さんです!萌えと音楽は切り離すタイプですが、萌え語りは楽しいです!そして、アドニスの星5カードが出て、カイトさんがデレて、京也さんがたまにヘアバンド外して来店してくれたら、もっと幸せになれそうです! 「ときレス」は8月にまたライブが開催されるのが楽しみ! 「あんスタ」と「夢キャス」のライブ開催も心待ちにしております!!
ヨダエリ トレンドコラムニスト。東京都目黒区出身。慶応義塾大学文学部卒業後、PR会社勤務を経てフリーに。「イマ・ヒト・ココロ」にまつわるテーマで新聞からウェブまで幅広い媒体で執筆。ドイツ在住時の思春期に洋楽ロック&ポップスにハマって以来、ポップカルチャーは大好物。UKロックからK-POPまで、気に入った音楽はジャンルを問わず楽しめる超雑食タイプ。配信よりCDで聴きたい派。アナログを聴ける環境も改めて整えたいきょうこのごろ。
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