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サントリーホール開館30周年、「惑星」の響き

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サントリーホールが今年10月、開館30周年を迎える。日本を代表するクラシック音楽のコンサートホールとして、国内外の著名オーケストラが名演を繰り広げてきた。ピエタリ・インキネン指揮の日本フィルハーモニー交響楽団によるホルストの組曲「惑星」の演奏風景を交え、サントリーホール館長でチェリストの堤剛氏とホール内を巡った様子を伝える。

弦楽器が5拍子の不穏なリズムを刻む。不安定な響きが徐々に大きくなり、ティンパニが強烈な連打を始める。英国の作曲家グスターヴ・ホルスト(1874~1934年)の組曲「惑星」の1曲目「火星、戦争をもたらす者」。ホルストがこの曲を書き始めた第1次世界大戦前夜の社会状況を映しているといわれるが、現代ではむしろ「スター・ウォーズ」を連想させるかもしれない。

4月22日、サントリーホール(東京・港)での日本フィル定期演奏会。火金水木土の曜日名の惑星群に天王星と海王星が続く計7曲から成る組曲が、大編成のオーケストラによって鳴り響いた。「私はあまり取り上げてこなかったが、演奏効果が高い作品」と日本フィルを指揮したインキネン氏は言う。「優れた作品なのに全7曲を通して聴けるコンサートはめったにない。もっと演奏されるべきです」と同公演を聴いた音楽評論家の萩谷由喜子さんも話す。

最も人気があるのは4曲目の「木星(ジュピター)」だ。「快楽をもたらす者」との副題の通り、心地よいリズムとポップなメロディー、色彩感にあふれている。Jポップのヒット曲、平原綾香さんの「ジュピター」は「木星」の美しい旋律を使っている。この曲だけ抜粋して演奏する例も多い。ホルストは全7曲を完奏して初めて作品になると考えていた。しかし「木星」のような突出してポピュラーな曲があるため、クラシックの公演では全曲演奏が敬遠されがちな面もある。

演奏の機会が少ないのは、大掛かりな編成を要するためでもありそうだ。1曲目の「火星」から早くも、宇宙空間を思わせる持続性の高い音色が、大音響にブレンドされて登場する。これを鳴らすのが、サントリーホールの舞台に向かって正面高台にあるパイプオルガンだ。「惑星」の演奏には巨大なパイプオルガンが欠かせない。管弦楽の重低音を増幅させ、高音域を艶やかに伸ばすオルガンの効果は大きい。

ここでオルガン設置型のサントリーホールの音響特性が生きてくる。「惑星」にぴったりのホールなのだ。堤氏に案内されてホールを巡った様子の詳細は映像をご覧いただきたい。堤氏はホール内に足を踏み込んだ途端、まず「パイプオルガンを設置するのが建設の必須条件だった」と語った。「どの席でも同じ音質で聴ける」「温かみのある音」など音響性能も強調した。

ホール建設の構想を練る中で、当時サントリー社長だった義父の佐治敬三氏とともに堤氏はドイツを視察した。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の芸術監督として君臨していた指揮者のヘルベルト・フォン・カラヤン氏と面会し、巨匠の提案を受け入れた。それがパイプオルガンの設置であり、客席がステージを取り囲み、ぶどう畑のようになだらかに上っていく「ヴィンヤード型」と呼ぶホール内の形状だった。

開館30年の今年、カラヤン氏と縁が深いサントリーホールで「惑星」が鳴り響くことに感慨を抱くファンもいるはずだ。「惑星」はホルストの死とともに忘れ去られつつあった。この作品をウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・フィルを指揮して現代によみがえらせたのがカラヤン氏だった。1961年ステレオ録音のカラヤン指揮ウィーン・フィルによる「惑星」のレコードは長年、名盤として聴き継がれている。最新のオーディオ技術に関心を寄せたカラヤン氏が「惑星」をメジャーな楽曲に引き上げた、歴史的録音である。

サントリーホールの正面玄関前は「カラヤン広場」と呼ばれる。ホール内を巡るあいだ、堤氏は「カラヤン先生」を何度も口にした。カラヤン氏のお墨付き、音響性能の良さ、舞台と客席との近さによる親密な雰囲気などが評判を呼び、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルをはじめ世界の名門オーケストラの来日公演は引きも切らない。日本フィルやNHK交響楽団をはじめ今では在京オーケストラのほとんどが同ホールで定期公演を開く。

東京を世界有数の音楽都市に引き上げたサントリーホールの功績は大きい。ただ、今では日本にも高性能のコンサートホールが多くある。クラシック演奏会の聴衆の高齢化も進んでおり、若い聴き手の育成も急務だ。インターネットによるライブ配信も普及し始めている中で、海外の主要ホールとの連携による新サービスの提案も課題になりそうだ。

(映像報道部シニア・エディター 池上輝彦)

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