紅茶・コーヒー・緑茶… 広がるカフェインレス飲料
日本緑茶センター(東京・渋谷)が発売するカフェインゼロの「やさしいデカフェ紅茶」シリーズの2015年の出荷金額は前年対比で2倍になった。「アールグレイ」「アップル」が好調という。3月には大麦やライ麦を原料にしたコーヒーテイストのカフェインレス飲料を発売した。
キリンビバレッジは14年春から緑茶からカフェインを除いた世界初のカフェインゼロ生茶を発売している。販売数量は年間450万ケース。「ドラッグストアやネット通販でリピーターをつかみつつある」(マーケティング部)とみている。
日本コカ・コーラが5月にリニューアル発売する「爽健美茶」。ボトルの全面に「カフェインレス」をうたっている。「消費者のカフェインレス飲料への関心は高い」(マーケティング本部の福江晋二・ティーカテゴリーバイスプレジデント)とみる。
既存商品の売り上げも好調
既存のカフェインレス飲料の売り上げも好調だ。カフェインレスコーヒー市場で7割のシェアを持つネスレ日本。主力の「ネスカフェ ゴールドブレンド カフェインレス」の15年の販売量は前年比8%増えた。10年前に比べると1.8倍という。昼は普通のコーヒー、夕方以降はカフェインレスという「飲み分け」が進む。
伊藤園の「健康ミネラルむぎ茶」も毎年2ケタ増のペースで増えている。15年の販売数量は2700万ケース。前年比11%増えた。
カフェインには女性が不足しがちな鉄分の吸収を阻害する作用や、カルシウムを体内から排出する作用があること、またや妊婦の摂取によって胎児の発育を阻害する可能性が指摘されている。15年にエナジー飲料による中毒死事故が起きたのも、過剰摂取による健康被害イメージを強くしたようだ。
「カフェイン摂取、過剰反応の必要なし」
管理栄養士によるマーケティング支援「食プロリサーチ」を運営するインサイツ(東京・中央)の石川陽介社長は「カフェイン摂取に過剰反応する必要はない」としたうえで、「コーヒーや紅茶だけでなく、チョコレートなどのカカオ製品にも含まれているため、1日あたりの総量を意識することが望ましい」と話している。
(村野孝直)
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