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ジョブズ憧れの永平寺 インバウンド対応「宿坊」開業 藤田観光、個室でプライバシー配慮

2017/6/1 日本経済新聞 朝刊

禅の修行道場である永平寺(福井県永平寺町)。若いころのジョブズが出家を考えていたといわれる

 曹洞宗大本山の永平寺(福井県永平寺町)は2019年秋、個室を備えた宿泊施設を門前に開業する。運営は藤田観光に委託する。「旅館と宿坊の中間」という位置づけで、プライバシーを気にする外国人旅行客も利用しやすくする。同寺は米アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏が若いころに修行しようとしていたことで外国人の間でも知名度が高い。20年の東京五輪・パラリンピックをにらみ、参拝客の拡大につなげる。

 藤田観光が運営する宿泊施設は平屋建てのエントランス棟と3階建ての客室・レストラン棟で構成し、延べ床面積は1948平方メートル。全18の和洋室に72人が利用可能。精進料理を提供するほか、寺での座禅などの体験もできる。外国人旅行客向けに、英語などができるスタッフを配置する。1室2人利用時の1人あたり料金は1泊2食付き1万6000円からを予定する。

永平寺門前に19年秋に開業予定の宿泊施設のイメージ

 永平寺は宿坊を持っているが、大部屋が主体となっており、プライバシーがないなど抵抗を感じる人もいる。個室を希望する人向けに新たに整備するのが同施設で、コンペを経て藤田観光が運営者に決まった。スタッフに禅の知識を習得させるなどの提案が評価されたという。

 永平寺は道元禅師が1244年に開いた禅の修行道場で、「ZEN(禅)」に関心を持つ外国人旅行客の間でもよく知られている。同寺の参拝客は日本人団体客の減少などでピークだった1989年の3分の1まで落ち込んでいるが、外国人旅行客は増加傾向にある。

 こうしたことから永平寺と福井県、同県永平寺町の3者は15年から、東京五輪・パラリンピックをにらみ「永平寺門前の再構築プロジェクト」に取り組んできた。今回の宿泊施設整備もその一環。県は近くを流れる川の修景整備、町は観光案内所や旧参道の整備をそれぞれ計画している。

[日本経済新聞朝刊2017年5月16日付に加筆]

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