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豊洲市場の汚染水悪化 地下水管理システム稼働影響か

2017/1/20 日本経済新聞 朝刊

東京都江東区の豊洲市場

 東京都が進めてきた豊洲市場(江東区)の地下水モニタリング調査の9回目で、国の環境基準を大幅に上回る有害物質が検出された。そもそも用地はなぜ汚染されており、都はどのような対策を講じてきたのか。市場移転の経緯も含めて改めて整理する。

 Q 築地市場はなぜ豊洲に移転することになったのか。

 A 築地市場は1935年の開場で、施設の老朽化が深刻。吹きさらしの「開放型」の建物構造で、夏場の高温多湿や風雨の影響を受けやすい。荷さばき場が足りずに商品が通路に積み上げられるのも日常の光景。市場周辺の道路が入場待ちのトラックの列で混雑する問題もある。

 都は90年代前半には築地の現地で建て替える再整備事業を進めたが、営業を続けながらの工事が難航し、断念。移転にかじを切り、2001年に豊洲移転が正式に決まった。

 Q なぜ豊洲の用地は汚染されているのか。

 A 豊洲市場の敷地は以前は東京ガスのガス工場で、50~70年代に石炭ガスを製造していた。その製造過程で生じるベンゼンやシアン化合物などの副産物で土壌が汚染された。

専門家会議で調査結果について説明を受ける市場関係者=14日午後、東京都中央区の築地市場

 それでも新市場にまとまった用地が必要という事情や、築地にも比較的近く商圏を引き継げることなどから、都が東ガスと交渉して取得した。

 Q 汚染はどのくらい深刻なのか。

 A 都はかつて敷地を10メートル四方ごとに区切り、全4122地点を調査。計1475地点(36%)で環境基準を上回る有害物質を検出した。汚染濃度が最も高い地点では、土壌で環境基準の4万3000倍のベンゼンや860倍のシアン化合物、地下水からは1万倍のベンゼンをそれぞれ検出した。

 Q 汚染対策はどのように進めてきたのか。

 A 都は敷地全体で深さ2メートル分の土を全て入れ替え、その上に2.5メートル分の新しい土を盛る対策を決めた。地下水はくみ上げて浄化・排水した。地下水位を一定の範囲に抑える超大型の地下水管理システムも整備した。一連の土壌汚染対策費は計約850億円に上る。

 ただ2.5メートルの盛り土は実際には市場の建物下ではされていなかったことが、小池百合子知事の就任後の16年9月に発覚した。

 Q なぜ小池知事は市場移転を延期したのか。

 A 豊洲市場はもともと昨年11月に開場する計画だった。しかし地下水モニタリングの9回目が17年1月のスケジュールで、安全の確認がまだ終わっていないとして予定通りの移転に待ったをかけた。

 Q 建物の地下に盛り土がなかった問題と今回の基準を大幅に超える有害物質の検出は関係があるのか。

 A 盛り土がなく、代わりに地下空間がある現状の安全性については、土壌汚染対策の専門家会議が16年10月から検証を進めている。ただ地下水の汚染と直接は関係がないとみられる。14年度から始めた地下水調査は1回目から7回目まで、調査地点全201カ所で有害物質は環境基準以下だった。昨年9月に公表された8回目の調査で初めて基準値を超えたが、3カ所のみで濃度も2倍以下の水準だった。

 今回の9回目は72地点で環境基準を超え、ベンゼンが最大79倍に達するなどデータが一気に悪化した。地下水管理システムが本格稼働したことや、入札の結果、9回目の調査会社が8回目までと変わったことなどが何らかの影響を及ぼした可能性もある。

[日本経済新聞2017年1月17日付朝刊]

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