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酉年、株は4連勝 政治案件目白押し「騒ぐ」年に

 

2017/1/7

えとの引き継ぎ式で顔を合わせるサルとニワトリ(12月27日、大阪市浪速区の通天閣)

 2017年は株式市場にとってどんな年になるだろうか。干支(えと)別に過去の日経平均株価のパフォーマンスを調べてみると、酉(とり)年は最多の4回連続のプラスとなっている。経験則でいえば、期待の持てる1年となりそうだ。もっとも、今年も昨年同様に株式相場に影響を与えそうな重要な政治イベントが多く、相場急変への警戒も怠れない。

 「まさに『申(さる)酉騒ぐ』の相場格言にふさわしい年となった」。12月8日に都内で開かれたエコノミスト懇親会で、安倍晋三首相は申年の16年の株式相場をこう総括した。

 昨年は英国の欧州連合(EU)からの離脱が決まった6月下旬に日経平均が1万5000円の節目を割った。11月にドナルド・トランプ氏が米大統領選で勝利すると今度は急回復と、大きな波を繰り返した。

■騰落プラス15%

 17年の相場格言も昨年と同じ「申酉騒ぐ」だ。急落を連想させる言葉のようにも聞こえるが、みずほ証券の三浦豊氏は「騒ぐは『変動する』という意味で、必ずしも下がるわけではない」と解説する。

 実際に戦後の干支別の日経平均を調べると、酉年は買いの好機だった。年間を通じてプラスで終えた年を「勝ち」とすると、過去5回の戦績は4勝1敗。1969年から4回連続で上昇しており、4連勝中の十二支は酉年しかない。

 過去の酉年の平均騰落率はプラス15%に達する。高度経済成長期の69年は38%のプラス、小泉純一郎元首相の郵政解散に沸いた05年は40%のプラスで終えた。明確な根拠は見つけがたいものの、無視もしづらい経験則だ。

 では買いを入れるのにふさわしい時期はいつか。直近の実績をより強く反映するために昨年11月までの過去10年で月別の日経平均を振り返ると、春先と年末に上昇する傾向が見て取れる。こうした動きにはそれなりの理由もあるようだ。三井住友アセットマネジメントの市川雅浩氏は「海外投資家の需給動向と連動しやすい」と指摘する。

 日本株の売買の6割以上は外国人投資家だ。短期売買主体のヘッジファンドや、長期運用を柱とする欧米の年金基金や投資信託など多彩な投資家がいる。ヘッジファンドの決算は10~11月が多いため、市場関係者の間では「利益と損失を通算して税負担を軽くしたり、運用成績を確定したりするための売りが秋に出やすい」との指摘がある。

■米国が暫定予算

 12月は休暇に入る投資家が増え、売り圧力が減る。そこで上昇相場になりやすい半面、1月に入ると利益確定の売りが先行しがちで下落する。2~4月に新たな資金が入った後は、秋まで手じまい売りなどに押されやすいという説明だ。

 経験則は今年も通用するか。17年の日程では米国、欧州、中国と注目すべき政治イベントが目白押しだ。まずは1月20日のトランプ次期米大統領の就任式。4月末にかけ暫定予算を作るため、「この時期に具体的な政策の中身が見えてきやすい」(SMBC日興証券の末沢豪謙氏)。

 欧州は英国政府がEU離脱の手続きを3月までに始める。4~5月にかけてはフランスで大統領選挙を控える。オランド大統領は不出馬を宣言しており、政権交代が決定的だ。9月ごろにはドイツが連邦議会選挙をする。メルケル首相の4期目の当選がかかる。

 中国では秋に5年に1度の指導部を刷新する中国共産党全国代表大会を控える。SMBC日興の末沢氏は「どの国でも、新たなリーダーの政策次第では大きな相場変動のきっかけになりかねない」と話す。

 国内でも衆院の解散・総選挙の観測が絶えない。安倍首相は冒頭のエコノミスト懇親会で来年の株式相場について「みんながうきうきするような予想をしていただきたいし、実態をそれに合わせたい」と話した。ただ、87年のブラックマンデーなど、「西暦末尾が7の年は金融危機が起こりやすい」との声もある。宣言通りの相場にできるかは、政治の影響が大きな1年となりそうだ。(野口和弘)

[日本経済新聞朝刊2016年12月31日付を再構成]

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