オリパラ

オリパラSelect

小池新都知事の「移転慎重発言」に揺れる豊洲市場開場 延期なら五輪開幕直前の環状2号開通に影響も

2016/8/3 日本経済新聞 朝刊

豊洲市場の整備費用は約5900億円(東京都江東区)

 東京都民の食を支える築地市場(中央区)を豊洲市場(江東区)へ移転する計画が、小池百合子新都知事の選挙期間中の発言で揺れている。迷走の末、ようやく最終段階に入った計画だったが、これ以上遅れると、2020年の東京五輪・パラリンピック開催計画にも影響が出かねない。

 「安全性の確認、使い勝手の問題、皆さまの納得をいただくために一歩立ち止まるべきだ。急がば回れでみんなが納得する結論を出したい」。7月22日、小池氏が築地市場近くで行った知事選の選挙演説で訴えた。集まった支持者から拍手が起こった。

選挙戦で小池氏は豊洲への市場移転へ慎重な姿勢を訴えた

 都は11月7日に豊洲市場を開場する予定で、移転計画は最終段階に入っている。ただ、築地周辺には豊洲移転への慎重論が今も残る。小池氏の演説を聞いた移転慎重派の一人は「小池さんなら移転を延期してくれるだろう」と語った。

 豊洲移転は2001年に計画決定したが、その後は用地の土壌汚染や使い勝手が問題視され、開場予定が何度も延期されてきた。ようやく移転・開場を3カ月後に控えた最終段階で、移転を「立ち止まる」と発言した小池氏が知事に就任し、関係者の間には動揺が広がっている。

 卸売団体の幹部は「移転を延期すると、準備が大混乱する」と不快感を隠さない。水産仲卸の社長は「築地での冷蔵庫や製氷機のリース契約が10月に終わる。移転が延期されれば契約のやり直しだ」と懸念している。

 多くの業者は11月移転を前提に経営計画を組んでいる。移転計画が変更されると、引っ越し作業を一から組み直すことになる。都の担当者も「長い積み重ねの上にここまで来た。経緯や背景を新知事にきちんと説明しなくては」と戸惑いをのぞかせる。

 事業費約5900億円を投じた豊洲市場は施設の維持にも巨額な費用がかかる。都の試算によると、稼働しなくても1日当たり700万円程度の維持費がかかる。仮に移転を3カ月延期すると6億円、半年なら12億円の財政負担が発生するという。

 豊洲移転が遅れると、20年の東京五輪にも影響が出る。選手村が建設される臨海部と都心を結ぶ環状2号道路の一部は築地市場の地下を通るが、工事は築地が更地になっていることが前提。現状でも環状2号の開通は五輪開会直前となる見通しで、もし豊洲移転が遅れると開会に間に合わなくなる恐れがある。

 小池氏は豊洲移転について「リアルな感覚を持つ」「五輪の大成功は大前提」とも話している。新知事に就任した今、早急に移転計画の経緯と現状を把握し、方向性を示す必要がある。選挙戦での自らの発言をどう「着地」させるのか、豊洲移転は小池氏の判断力をはかるモノサシとなる。

オリパラ新着記事