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無痛分娩ではダメですか 高齢出産の女性が関心

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NIKKEI STYLE

麻酔で痛みを抑えながら出産する無痛分娩。体力消耗が少ないとして、高齢出産者や仕事への早期復帰を望む女性らの間でにわかに関心が高まっている。だが欧米に比べ日本ではなかなか普及しない。お腹を痛めてこそ母性が育まれるという固定観念も壁になっている。

「おなか痛めてこそ母」の壁

「出産がすごく楽しかった」。東京都の山田明子さん(40)は満面の笑みをみせる。2013年1月に長男を産み、今年7月に長女が誕生。いずれも無痛分娩だ。勧めたのは夫。「激痛に苦しむ妻をなすすべなく見守るより一緒にお産を楽しみたい。無痛がいいよ」と妻の背中を押した。

自然分娩した友達に「痛いよ」と散々脅されたが、山田さんは初産のときも苦しみとは無縁。だんだん短くなる陣痛や産道を赤ちゃんがおりてくる感覚はあるが、痛みはほぼない。付き添った夫と産まれてくる子の名前をどうしようかと穏やかに話しながら出産を迎えたという。

山田さんが出産した東京マザーズクリニック(東京・世田谷)は12年1月に開院した無痛分娩専門医院だ。分娩件数は12年が約250件、13年は約300件と確実に増えている。埼玉や三重など他県から来院する妊婦もいる。

院長の林聡医師は産婦人科勤務を経て米国に留学。ほとんどが無痛分娩であることに驚いた。「日本では出産は痛くて当たり前。私も激痛に泣き叫ぶ妊婦に『皆、この痛みを我慢しているんですよ』と諭していた。でも冷静に考えてみれば、痛みに耐える利点は特にない」。帰国後、無痛分娩の医療技術を学び、専門クリニックを開設した。

無痛分娩は古くは吸入麻酔で行われていた。だが今の主流は硬膜外麻酔と呼ばれる医療技術。吸引麻酔のように全身麻酔ではなく、下半身だけの痛みを取り除く。薬が胎盤を通じて赤ちゃんに影響することはない。薬量を微調整することで痛みは和らぐ一方で感覚はある程度残せるので、赤ちゃん誕生の瞬間はしっかり体感できるという。

体力を温存、育児に備える

無痛分娩への関心が高まる背景には晩産化と働く女性の増加がある。第1子の出産平均年齢は30歳を超えた。体力に不安を感じる妊婦が少なくない。13年12月に初めて出産した野上順子さん(41)は「40歳を超えての初産。無痛分娩で体力を温存し、育児に備えたかった」と話す。

東京都の高橋しゅうさん(37)は仕事との両立を考えて無痛分娩を選んだ。4年前に起業し、今は従業員十数人の会社を経営する。「事業も軌道に乗ってきたところで早く復帰したかった」。5月に長男を出産。3週間後に出勤し、今は出産前と同じ勤務をこなす。「体力を消耗しない分、回復は早かった」と話す。

ただ国内では無痛分娩はまだ少数派。日本産科麻酔学会の天野完会長(産科医)は「無痛分娩は全体の4%程度と推定される。希望者は増えているが提供できる施設が限られている」と説明する。広がらない理由の一つは「おなかを痛めて産んでこそ母」という伝統的な考え方だという。

「自然な出産」になるよう工夫も

聖隷浜松病院(浜松市)は昨年7月に無痛分娩を開始した。希望の分娩スタイルを来院者に調査したところ15%が「無痛分娩」と回答したのがきっかけだ。導入に向けて12年夏にプロジェクトがスタート。ただ当初は反対する関係者もいたという。産婦人科の中山理部長は「医療関係者側も痛みに対する美徳を持っていた。無理に進めず、先進病院の見学や専門家を交えた勉強会などを開いて、意思統一を図った」と説明する。

できるだけ自然な出産になるように工夫も施す。無痛分娩は出産日をコントロールしやすいので、麻酔医の勤務日程に合わせて事前に出産日を決めるケースもある。だが聖隷浜松病院は陣痛が自然と起こるのを待つ。そのために24時間365日いつでも受け入れられるように麻酔科と協力態勢を築いた。

聖隷浜松病院は自然分娩のほか、医師ではなく助産師が主体となる院内助産を併設している。中山部長は「どれが正しくて、どれが間違っているわけではない。どれか一つを病院が押しつけるのではなく、希望に合った出産を自由に選べるようにすることが大切だ」と強調する。(編集委員 石塚由紀夫)

専門人材など確認を


 無痛分娩にもメリットとデメリットがある。日本産科麻酔学会の天野完会長は「一番のメリットは痛みを感じない分、体力の消耗が防げて、ストレスも軽減できること。一方、息む力が弱くなり、自然分娩の場合よりも鉗子(かんし)分娩になる確率が高いとする研究報告もある」と強調する。
 無痛といいながらも、人によっては相応の痛みが残る場合があるという。陣痛は痛さの強弱が波のように訪れる。麻酔薬注入のタイミングがずれてしまうと、予想外の痛みに襲われる可能性もゼロではない。
 出産費用も自然分娩より割高。施設によって金額は異なるが、通常の分娩費用に麻酔管理費10万~20万円ほどが上乗せになる。専門教育を受けたスタッフがいる病院を選ぶことも欠かせない。日本産科麻酔学会はホームページ(http://www.jsoap.com/)で無痛分娩ができる全国の医療機関を公開している。一覧を基に医療機関に足を運び、医師からメリットとデメリットをしっかり説明を受けてから選択することが大切だ。

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