「アトム」海外でリメーク 手塚プロ、版権を収益源に
「鉄腕アトム」が海外で幼児、小学生、大人向けなど年齢層別にリメークされる。手塚プロダクション(東京・新宿)は欧米やアジアのアニメ・映画会社と相次いで提携し、アニメ・CG・実写映画のリメーク版3作品を制作する。子どもが多い新興国、少子化が進む先進国など国際市場の実態に合わせて輸出を増やす。原作の手直しも柔軟に認め、海外での版権ビジネスを収益事業に育てる。
制作するのは4~6歳向けアニメ「リトルアストロボーイ」、7~12歳向けCGアニメ「アストロボーイ・リブート」、大人を対象にした実写映画。フランスのプラネットニモ(パリ)、カリバラ(同)、米国のワーナー・ブラザースと提携する。中国、韓国、中近東などからも出資を募る。
「リトルアストロボーイ」はプラネットニモとの共同制作で幼児ロボットが離島の研究所を舞台に活躍する。再来年春にも全世界でテレビ放映する。「アストロボーイ・リブート」はカリバラにリメーク権を供与する。女性博士の家に住む少年ロボットが悪者と戦うという内容で再来年以降、先進国を皮切りに順次放映する。実写映画はワーナーや豪の制作スタジオにリメーク権を与え、「公開は3年後以降になる見通し」(手塚プロ)。
リメーク権供与で、海外市場に受け入れられやすいように原作の登場人物や設定、筋書きを柔軟に変更できるようにする。手塚プロはライセンス料のほか、DVDやキャラクター商品の売り上げを収益として得る。
日本動画協会によると、日本のアニメ制作会社の年間輸出額はポケモンなどが注目され増加していたが2005年の313億円をピークに減少し14年は195億円。大人向けは堅調だが子ども向け市場が縮小した。
日本の海外用アニメは吹き替え版が多くリメーク版は少ない。原作者の承諾を得るのが難しいためだ。手塚プロは「手塚治虫氏の精神を損なわない範囲ならば、原作の手直しを柔軟に認める」(著作権事業局)という。
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