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得々家計

家計簿、スマホで手軽に 月の収支、自動で計算

2016/4/23付 日本経済新聞 プラスワン

 「家計簿を付けたいけど三日坊主になる」という人は多いだろう。紙の家計簿は、記入や集計をすべて自力でする必要があり、手間暇がかかる。最近はIT(情報技術)を使って月々の収支や資産の一覧を自動的に作ってくれる家計管理サービスが増えている。入力作業の負担が減り、家計管理が長続きしやすくなる。うまく使いこなし、家計改善につなげていきたい。
スマホでレシートを撮影してデータを読み込む(マネーフォワードのアプリ画面)

 スマートフォン(スマホ)やパソコンを使い、インターネットを通じて家計管理ができる主なサービスをに示した。基本的な機能は無料で提供。利用する際はアプリをダウンロードしたりサイトにアクセスしたりして登録する。

 各サービスに共通するのが、自分が使っている金融機関の口座情報をまとめてネット画面上で閲覧できる機能(アカウントアグリゲーション)だ。例えば銀行に持つ普通預金や定期預金、証券会社にある投資信託の残高、クレジットカードの負債残高をひとつのページ上で一覧できるのが一般的だ。

 複数の金融機関を利用していると通常はサイトごとにIDとパスワードを手入力してログインする。家計管理サービスでは、いったん登録すると次回からは自動的に各口座の情報を取得し、画面上に集約する。最初は一手間かかるが、家計の姿を把握しやすい。

 資産・負債の状況がわかるだけではない。預金やカードの利用履歴などをもとに、月々のおおまかな収入と支出を自動的に計算する。家計を視覚的にとらえやすいようグラフを用いる例が多い。どの支出が多いのか簡単にチェックでき、節約意識にもつなげやすい。

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 ネット家計管理でもうひとつ最近増えているのが、レシート画像の読み取り機能だ。

 スーパーなどでの買い物でもらったレシートの表面をスマホで撮影して送信すると、品目名や金額を読み取り支出として画面上に整理する。食費や美容費などカテゴリーごとに仕分けするサービスもある。金融機関の口座情報では把握しきれない日々の細かな支出を記録できる。

 家計管理サービスは画面の作りや細かな機能でそれぞれ特徴がある。一通りの機能は無料で使えるので各サービスを試したうえで、デザインを含め、使い勝手を比べたらいいだろう。

現預金や株式など保有資産の内訳を把握しやすい(マネーフォワードのアプリ画面)

 例えばマネーフォワード(東京・港)のサービスは、銀行預金の入出金やクレジットカードの利用履歴から、食費や光熱費などのカテゴリーを自動で分類する機能がある。結果は見やすいグラフ形式の家計簿として表示する。

 マネーツリー(東京・渋谷)の場合、クレジットカードの引き落とし日が近づいたり、預金残高が一定水準を下回ったりすると通知する機能がある。カードで払った分がきちんと口座から引き落とされるか、事前にわかれば不安にならずにすむ。

 「Dr.Wallet」は、撮影・送信したレシート画像をオペレーターが目視し、手作業でデータ入力するのが特徴。食費や光熱費などカテゴリーごとに仕分けしてくれる。

 家計管理サービスに詳しいファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんは「クレジットカードの管理をしっかりしたい人は通知機能があるといいし、現金払いの機会が多い人はレシートを正確に読み取る機能があったほうがいい。自身の利用法に合わせてサービスを選びたい」という。

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 家計管理サービスは細かな収支を捕捉しにくい面もあるが、大きなお金の流れを手早くつかむのに適している。これまで紙の家計簿で支出分類に頭を抱えたり集計でてこずったりしていた人にお薦めだ。特に、家賃や光熱費など支出の多くを銀行口座からの自動引き落としやクレジットカード払いに設定している人にとって、カテゴリー別の自動分類は便利だ。

 ネット家計管理は便利な半面、セキュリティー面で不安に感じる人もいる。各社とも外部の診断会社から安全面の評価を受けるといった対策をとる。口座情報の自動閲覧ではIDやパスワードを入力する必要があるが、同様のサービスを提供する金融機関と同様、情報は暗号化されて保管。振り込みなどに必要な暗証番号は基本的に入力は不要だ。ただ各社のセキュリティー対策は確認しておきたい。

 画面で入出金をこまめにチェックする習慣を身につけておけば、カードの不正利用といった異常に気付きやすいかもしれない。家計簿作りの本来の目的は数値を基に余分な出費を減らしたりすることにある。データの整理だけで満足せずに着実に家計改善を進めていきたい。

(ファイナンシャルプランナー 花輪 陽子)

[日経プラスワン2016年4月23日付]

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