大きくなる日 佐川光晴著
意表をつく少年の解決策
中学のテニス部では朝練で荒れたコートを昼休みに1年生がブラシでならすのが慣例になっている。グーパーじゃんけんの一発勝負で人数の少ないがわになった者たちがコートの整備にあたる。ある日、じゃんけんの直前に「太二、パーな」と武藤が小声で言う。深く考える間もなくパーを出すと、末永だけがグー。末永は問題の多い生徒なのでハメられたのだ。しかしこのままでいいわけがない。キャプテンか顧問に言えば大事になる。誰も傷つけずに解決するにはどうしたらいいのか。翌日のじゃんけんタイムまで太二は必死に考える。
本書は家族のさまざまなかたちを描く連作集だが、太二の素敵(すてき)な解決策に意表をつかれる。
★★★★
(文芸評論家 北上次郎)
[日本経済新聞夕刊2016年4月21日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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