全ての壁は棚になる 奥行き15センチで収納力アップ
全ての壁は棚になる
和室の壁によく見られ、柱と柱をつなぐ長押(なげし)や棚、フックなど、奥行き15センチ以下の収納商品がずらりと並ぶ。無印良品有楽町店(東京・千代田)では「壁に付けられる家具」シリーズを提案している。「壁面を活用できないかと考えたのが開発のきっかけ」と語るのは、無印良品インテリアアドバイザーマネージャーの林高平さん。
壁が石こうボードだと、くぎを打っても抜けてしまう。また、賃貸住宅は傷をつけられない。「壁に付けられる家具」は、石こうボード専用のピンで付けられ、ほとんど跡が残らない。
部屋の壁や廊下、洗面所など石こうボードの壁がある所なら、全てが収納スペースになる。奥行き15センチでは収納力がないのではないかと考えがちだが、化粧品やスパイスの瓶、文庫本なら十分だ。絵や小さな鉢を飾るのもおしゃれ。鏡の下に棚を付けて化粧品を置けば簡易ドレッサーになる。
長押は色々と活用できるという。玄関のそばに設置してコートかけにしたり、ベッド脇に取りつけてクリップランプを付けたり。読みかけの本を置くのにもよい。洗面所に付けてフックをかければ、モップなどの掃除道具つりに最適だ。
特定の商品でなくても、くぎを打ってもいい壁なら、ホームセンターなどで好みの板材を買い、自分で棚を作るのもいい。直角の金具などで壁面に留めるなどすれば手軽にできる。
どれぐらいの物を置いても棚などが落ちないのだろうか。既製品なら耐荷重として書かれていることが多い。無印良品の88センチの長押の場合は6キログラムなどだ。自前で作る場合は、基準が分かりにくいので注意して物を置くようにしたい。
奥行きが浅い壁面収納の利点は、何があるか一目で分かること。奥のほうに入れた物は忘れてしまい、同じ物を何度も買ってしまうことがあるが、そんな失敗も避けられる。「しまい込まなければ使い切ることができる。物が管理しやすくなれば、自然と余計な物が減っていく」(林さん)
壁面収納は商品が外からよく見えるだけに、洗剤などの色鮮やかなパッケージの文字がインテリアとしてはごちゃついて見えがち。バス・トイレタリー商品を並べるときは、色や形を統一した容器に移し替えると、スッキリとする。
クローゼットにも空間
クローゼットの中のデッドスペースを生かし、収納量を増やすことができる。注目すべきは、後ろの奥と左右の壁だ。
住まい方アドバイザーの近藤典子さんは「多くのクローゼットは奥行き65センチ前後で服の幅は50~60センチ前後なので、後ろに少し空間ができる場合がある」と指摘する。ゆとりがあれば、市販の長押や突っ張り棒などのパイプを付ければ、服などをかけることができる。
「普段使わない冠婚葬祭用の服や靴、カバンなど一式をかけておくと、いざというとき、慌てずに済む」と話す。
折れ戸の場合、クローゼットの左右の壁にくっつける様に引き出しケースを置くと、扉にあたって引き出しが出せない。そこで、左右に扉分の空間を空けることになる。左右の壁に沿わせて突っ張り棒とネットを組み合わせて付ければ、ベルトやスカーフ、帽子やアクセサリーなど小物置き場になる。
突っ張り棒にネットをセットするときは、結束バンドを使うと簡単に安定させることができる。「クローゼットは、つるすパイプの空間、枕棚の上の空間だけと思いがち。使っていない空間を使用すれば、収納量を増やせる上、散らかりがちな小物もスッキリ整理できる」(近藤さん)
(ライター 中川 いづみ)
[日経プラスワン2016年3月5日付]
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