黒板でカフェ風インテリアをDIY
伝言やメモがおしゃれに
カツカツと響くチョークの感触。思わず、悩みながら答えた数学の問題や、放課後の友人との落書きの思い出がよみがえる人は多いのではないか。カフェや生花店など、街を見渡せば手描き看板があふれている。
アートディレクターの小熊千佳子さんは「黒板文字は空間をおしゃれに見せるデザインとして欧米でも人気だ」と話す。インテリアを手作りするブームにのって注目されたのが始まりだという。
「最近は個人宅でも、壁一面を黒板にしたいという声がある」と話すのは1級建築士事務所あとりえ(東京・台東)代表のとりやまあきこさん。黒板は字や絵を自由に描いては消せるので、家族の伝言板や空間のアクセントに取り入れる人が増えているようだ。
黒板の特徴はチョークの粉が定着しやすいよう、塗料の粒子が粗くなっている。「反射光が直接目に入りにくく、普通の黒壁より温かみを感じる」と話すのは、「すばらしき手描きの世界」(主婦の友社)の著者、チョークボーイさん。
壁に掛けられる小さな黒板なら、雑貨店などで手軽に買うことができる。例えば、家では「BED ROOM」や「○○の部屋」など表札風に部屋の扉に掛けたり、「お疲れさま」といった家族へのメッセージを書くのに使ったり。客を迎えるウエルカムボードとして玄関に飾るのもよい。
好きな形に切って壁に貼る「黒板シート」は冷蔵庫に貼ると便利だ。殺風景になりがちなオフィスでも「社員の出退勤ボードや伝言板として黒板を使えば、心のこもった対話のきっかけになるのでは」(チョークボーイさん)。
チョークで文字を書くには少しコツがいる。よれたり、途切れたりしやすいからだ。少し強めの筆圧ではっきり書くとよい。角が丸くなったら、回転させて別の角を使うと書きやすい。
慣れてきたら、カフェ風の英字に挑戦してみよう。チョークボーイさんが教える基本の字体はゴシック体、筆記体、袋文字の3つ。文字によって与える印象が異なってくる。ゴシック体は内容をしっかり伝えたい時によい。MやNは一筆書きでなく、両端の縦線から始め、中央の斜線を後から書くと、幅や形を整えやすい。筆記体は落ち着いた印象に、袋文字は強い印象を与える。
いずれも文字の高さをそろえるときれいだ。マスキングテープで補助線を引いておくと、真っすぐ書きやすい。
瓶や鉢植えもアレンジ
黒板そのものから手作りしたいという女性も増えているようだ。ホームセンターなどでは、ピンクやグレーなどいろんな色の専用塗料を取り扱っている。
主な専用塗料にはスプレー式と液体がある。「広い面は液状塗料をローラーで塗れば初心者でもきれいに仕上がる」と話すのは東急ハンズ(東京・新宿)事業創造推進室の高川良子さん。やすりをかけた絵画用木製パネルに2度塗りすれば、自分だけの黒板になる。
塗料はパネルや壁など平面以外の「瓶や鉢植えに塗ってもかわいい」と高川さん。そこにチョークで「COFFEE」と書いて中身を表示したり、ハーブの鉢に塗って植物名を書いたり、アレンジは自在だ。
瓶の蓋やガラス面に塗るには、専用の下塗り剤を使うか「金属用のやすりで表面をこすっておくと塗料が定着しやすい」(高川さん)。鉄分を含んだ専用下地を使えば、マグネットが付く黒板壁も作れる。
デジタル画面に慣れた目に温かく映るチョーク文字。春は環境が変わり、新しく知り合う人も多い。ちょっとした交流に黒板を活用してはどうだろう。
(柳下朋子)
[日経プラスワン2016年2月27日付]
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