「魅力度ランク」低迷 北関東3県に足りないもの
ブランド総合研究所社長に聞く
何かにつけて「ブランド力の低さ」が指摘される北関東3県。ブランド総合研究所(東京・港)が全国の約3万人を対象にインターネットでアンケートした昨年の「地域ブランド調査」でも3県の魅力度は低いという結果になった。何が理由なのか、どうすれば魅力を発信できるのか。同社の田中章雄社長に聞いた。
――都道府県の魅力度ランキングでは、今回も北関東3県の順位の低さが目立ちました。
「茨城県は引き続き最下位、群馬県は順位を1つ上げたが、佐賀県が下がったのに助けられた形だ。栃木県は35位と3県では唯一、魅力度が大きく上がったが、若者層からの評価が上昇したことが影響した。寺社を巡るのが趣味の『寺ガール』らの間で、日光の人気が高まったことなどの効果があった」
――なぜ北関東のブランド力が低いのでしょうか。
「3県とも豊かな地域で、工業や農業が盛ん。放っておいてもモノは売れたし、人口も増えた。住民の地元に対する愛着度が低く、あまりお国自慢をしないということもある」
「西日本での認知度が低いことも大きい。例えば茨城県の魅力度は、関東での調査では31位とそれほど低くない。北関東の低い魅力度は東京に近く、全国に向けてアピールする必要がなかったことが影響しているが、これでは日本の半分を捨てているようなものだ」
「今回、栃木県の順位が上がったのは西日本での認知度が上がった影響もあった。これまでの官民のキャンペーンの効果が出たのだろう」
――魅力度を上げるにはどうすれば効果的ですか。
「茨城県と聞いてピンと来るものがない。納豆があるが、地域のイメージを上げるほどの力はない。だが、県内のつくば市は先端技術のまちとして評価が高い。県としてもこのイメージを活用しない手はない」
「群馬県も状況は似ている。草津温泉と富岡製糸場という誰もが知っている名所があるが、長野にあると思われているのか県のイメージアップにつながっていない」
「県のホームページは『あれもある、これもある』と名所を出し過ぎで草津や富岡が埋もれてしまっている。シンプルで強力なメッセージを伝えるのがブランディングの基本だ」
――ご当地グルメや「ゆるキャラ」に力を入れるケースも目立ちます。
「ご当地グルメも全国のオンリーワンになるのは難しく、地域のブランド力向上に役立った例は少ない。ゆるキャラも今や全国に何百体もある」
「ただしこれらによって人が集まり、地域活性化につながるということはある。地元への愛着が強まることも期待できるので、全体のイメージを引き上げる力はないまでも、底上げする効果はあるだろう」
(聞き手は前橋支局長 塚本直樹)
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