スター・ウォーズ/フォースの覚醒
胸躍る冒険活劇、変わらず
世界一斉公開の大騒ぎの中、あのオープニング・タイトルがそのまま、「昔々、銀河系の彼方(かなた)で」と始まってジョン・ウィリアムズの曲が流れる……。
1977年に第1作が誕生。全9作の予定が第6作『シスの復讐(ふくしゅう)』(05年)で一休み。製作会社がディズニーに代わり、10年の歳月を置いて第3作『ジェダイの帰還』(83年)の30年後が舞台、最初の出会いが鮮烈に甦(よみがえ)る第7作が誕生した。
かつて我らの世代の文化として熱狂的に迎えた人々のために、そしてこれから新たな伝説になるために、とSFX技術を満載した『スター・トレック』などのJ・J・エイブラムスが監督。全9作を構想したジョージ・ルーカスの、宇宙が舞台の胸躍る冒険活劇を求める姿勢は少しも変わっていないのがうれしい。
第1部の3作を担った主役3人に加え、錆(さ)びて古びたR2-D2やC-3POにチューバッカまで登場。そこに凛々(りり)しくタフなヒロイン、レイ(デイジー・リドリー)を中心にして、新型のロボット、BB-8に消息を絶ったルーク(マーク・ハミル)の行方を記すデータを託し、悪の組織ファースト・オーダーに捕まったレジスタンス軍のパイロット、彼を救出する脱走兵フィン、黒仮面の悪役カイロ・レン、と新旧の人物を絡ませてドラマは進む。ここではシリーズを貫く悪と善との戦い、父と息子の相克、友情の絆、希望などが描かれて現実に結びつき、身近なものになった。
自分たちの子供に悩まされるハン・ソロとレイア。彼女の双子の片割れルークを探してレイが旅立ち、カイロ・レンが十字型ライトセイバーで邪魔者を葬る!
第1作の頃より大幅に進歩した映像技術による3D映像が体感させる空中戦の数々。見るのではなくゲームの中で翻弄される快感がある。若い世代の新たな活躍は第8作に期待したい。2時間15分。
★★★★
(映画評論家 渡辺 祥子)
[日本経済新聞夕刊2015年12月25日付]
★★★★☆ 見逃せない
★★★☆☆ 見応えあり
★★☆☆☆ それなりに楽しめる
★☆☆☆☆ 話題作だけど…
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