働き方・学び方

イチからわかる

センター試験がなくなる? 新テストは思考力重視

2015/12/8 日本経済新聞 プラスワン

イチ子お姉さん 2020年から大学入試が変わるの。センター試験がなくなり、新しいテストができるそうよ。中学や高校の授業にも影響(えいきょう)がありそうね。
からすけ 試験がなくなるわけじゃないんだね。センター試験とは何が違うんだろう。ボクが大学受験をするころにはどう変わっているのかな。

■知識より思考力をテスト

 イチ子 大学入試ってどんな仕組みか知ってる?

 からすけ 何となく。2回あるんでしょ?

<キーワード>
 センター試験 1990年、それまでの共通1次試験に代わって導入された。毎年1月に行われ、50万人以上が受験している。
 AO入試 1990年、慶応義塾大学が初めて導入。大学が求める学生像と照らし合わせて合否を決める。書類選考や面接が中心。

 イチ子 国公立大学に行きたい人はまず1月に大学入試センター試験(キーワード)を受けるの。その後、各大学の試験を受ける。私立大学も多くがセンター試験の成績を使っているわ。このほかに推薦(すいせん)入試やAO入試(キーワード)もあるの。

 からすけ AOって何?

 イチ子 アドミッション・オフィスの略で受験生の個性を見る試験のことね。私立大学では推薦とAOで合格者のほぼ半分が決まっているわ。

 からすけ 国立大は?

 イチ子 国立だと推薦とAOで15%くらい。最近だと東京大学が今冬の入試から推薦を導入するわ。京都大学も今冬からAO入試を始めるの。個性的な学生を増やし、刺激(しげき)しあう環境にしたいようね。

 からすけ 推薦やAO入試をする大学は増えているの?

 イチ子 ええ。今冬の入試では過去最高になりそう。推薦やAOの増加と、今回の大学入試改革は関係があるの。今の試験のやり方には問題があるというのが共通認識ね。マークシートって知ってる?

 からすけ 丸を鉛筆(えんぴつ)で塗(ぬ)りつぶしていくやつでしょ。

 イチ子 センター試験はマークシートの選択(せんたく)式なの。暗記中心の問題になりがちといわれているわ。年1回の試験では本当の実力が分からないという声もあるの。そこで、20年度の入試からセンター試験を廃止(はいし)して新しい試験に変えようと検討されているわ。

■年数回、今の中1から予定

 からすけ 20年度っていうと5年後。もしかして……。

 イチ子 そう。からすけたち今の中学1年生が受験する大学入試からよ。

 からすけ マジ?

 イチ子 今は国語や数学など教科ごとの試験だけれど、新しくできる「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」では、教科横断的な試験科目を考えているわ。英語で書かれた数学の問題が出たり、地理と数学を組み合わせた問題を解いたりするイメージね。

 からすけ 難しそうだ。

 イチ子 英語も、今は文章を読んだり聞いたりする力を試すテストだけれど、書いたり話したりする問題も取り入れるようよ。知識量重視から思考力や判断力、表現力を問う試験に変えるのが改革の狙(ねら)いね。コンピューターを使う可能性もあるわ。新しいテストは年数回行うみたい。

 からすけ マークシートはなくなるの?

 イチ子 一部は記述式になるかもね。それともう一つ、新しいテストができそうよ。

 からすけ まだあるの?

 イチ子 「高校基礎学力テスト(仮称)」といって、19年度から導入予定よ。順位は出ないわ。どのくらい高校の授業がわかっているかを生徒に把握(はあく)してもらうの。ただ大学入試への活用も検討していて、23年度以降は推薦やAO入試で使われそうよ。

 からすけ 知らなかった。

 イチ子 この2つをあわせて新テストと呼ぶのよ。ただ、具体的な内容は決まっていないの。無理という意見もあるし。実施を先送りするかもというニュースもあったわ。

 からすけ じゃあボクには関係ないかもしれないね。

 イチ子 いえいえ。「知識量から思考力へ」という変化は、中学や高校教育の大きな流れになっているわ。一部の大学では既(すで)に改革を先取りした問題が始まっているのよ。

 からすけ 逃(に)げ切れると思ったのに。

 イチ子 甘いわね。例えば国際基督教(こくさいきりすときょう)大学(ICU)では、15年度の試験から「総合教養」という科目を追加したの。サンプルで出たのはこんな例題よ。まずはワインの歴史についての17分くらいの講義を聞く。その後問題文を読み、自由貿易理論や世界史、化学式などの問題に答えるの。幅広(はばひろ)い知識を組み合わせて解く問題だったわ。

 からすけ 難しそう。

 イチ子 中学や高校の授業も変わってきているわ。生徒同士が討論をしたり、みんなの前でプレゼンテーションする技術を磨(みが)いたり。大学のゼミのように、先生と対話しながら進める授業も増えてきたわ。これからは知識も応用力も問われるから、からすけも心して勉強しなくちゃね。

■増える 特色ある大学

渋谷教育学園渋谷中学高等学校の真仁田智先生の話 大学の多様化は始まっています。世界と互角(ごかく)に競える研究水準を目指すスーパーグローバル大学、地域社会が必要とする分野や専門性を特化する大学など、特色ある教育を通じた人材の育成を目指しています。
 今年度、東京大学が一般受験以外に導入した推薦制度から、入試制度改革の方向性がみえてきます。注目を集めたのは出願の条件で、大学側が教育理念や授業内容を示し、一定の受験資格を設けたことでした。大学に必要な学力には、学科試験だけでなく、教科横断型の思考力、グループ学習や問題発見と解決の実践力などが求められているからです。
 将来、どの大学で何を学ぶのか。それは、自分と社会のつながりの中から見つかるものです。夢中になれることや何かに挑(いど)む経験、人との出会いやニュースの情報など、生活の中にその糸口があるはずです。
今週のニュースなテストの答え 問1=COP、問2=ルノー

[日経プラスワン2015年12月5日付]

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