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暮らしの知恵

冷気防いで、家ぽかぽか 暖房・カーテンに一工夫

2015/11/14 日本経済新聞 夕刊

 秋が深まり、セーターやコートが必要な季節になってきた。寒い屋外から帰ったら家の中では暖かく過ごしたい。それにはまず、外の冷気を室内に入れないこと。リノベーション(大規模改修)のような大がかりなものから、カーテンを工夫する手軽なものまで、お部屋をぽかぽかにする方法を探った。
断熱材を隙間なく吹き付けて冷気を遮断するリノベーションも登場

 もし、家が戸建てで、リノベーションを考えているなら、断熱性能を高めることを考えてもいいだろう。断熱性が低い場合、冷気が室内に入ることなどで暖房効率が低下する。戸建ては家の表面が外気に接しているため、とくに冷えやすいという。

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 住友不動産の「新築そっくりさんリノベーション2」は、断熱に力を入れている。家の外と中の熱の出入りの6~7割を占める窓は、複数枚重ねたガラスの間に空気の層を作って熱の出入りを遮断。ガラスには金属の膜をつくり、熱を反射して外と室内の熱の出入りを少なくしている。玄関ドアや壁、天井には断熱材を敷き詰める。

 たとえば30坪(約100平方メートル)の戸建ての間取りを変更せずにリノベーションした場合、構造の補強や水回りなどの設備更新まで含めて1380万円程度。工事期間は3カ月程度だ。

 断熱性を高めて家全体が暖かくなると「家での行動範囲が広くなる人が多くなる」と住友不動産の三野嘉久副社長補佐は話す。断熱仕様の家に住む人からは「膝が痛くなくなった」「ぜんそくやアレルギーが軽くなった」といった声もあるそうだ。

 ただ、こうした大規模改修は費用も時間もかかる。

 暖房器具を工夫するなど手軽な方法で、部屋を効率的に暖め、快適に過ごすにはどうすればいいだろうか。

 部屋の気温がなかなか上がらないと、暖房の設定温度を高くしがち。だがダイキン工業(大阪市)の空調営業本部の谷内邦治さんは「湿度を高めることで暖かく感じやすくなる」と指摘する。エアコンの場合、温度を上げると湿度が20%台に落ち込むこともあるという。加湿器のほか加湿機能付きのエアコンや空気清浄機を併用して50~60%に湿度を上げると暖房の効果が出やすくなる。

エアコンは風向きをなるべく下にすると部屋全体が暖まりやすい

 部屋の上部に設置するエアコンは風向きにも注意したい。暖かい空気は上に行く性質があるので、なるべく床に向かって吹き出すようにしておくと部屋全体がまんべんなく暖まる。風が直接当たるのが気になる場合は左右の調整も欠かせない。

 電気ストーブやこたつ、床暖房とエアコンを併用するのも一つの手だ。「冬になると帰宅した瞬間にエアコンのみをフル稼働させる人も多いが、複数の器具を併用すれば設定温度を低く抑えられる」と谷内さん。

 気を付けたいのはエアコンの室外機。雪が降ったり清掃用具を置いたりして覆われてしまうと、暖かい空気が出にくくなる。寒くなる前に部屋の外も確認しておこう。

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裏地を自由に着脱できるカーテンも販売されている

 窓から入り込む冷気はカーテンを工夫して抑えることもできる。入り込む冷気が少なければ暖房の効率も上がる。

 インテリア大手のサンゲツ(名古屋市)の山岸亜希さんは「ひだの部分が多いものや窓をしっかり覆えるサイズのものを選ぶと冷気を防ぎやすい」とアドバイスする。

 生地も厚いほうが効果は高まるものの、それだと夏場には向かない。山岸さんは「季節ごとにカーテンを替えるという人はなかなかいない。夏にも使うことを考えると裏地を取り外せるタイプも選択肢になる」と話す。最近は、特殊な糸を使った保温性能のあるレースカーテンも販売されている。

 カーテンは、色の効果も無視できない。黄色やオレンジといった暖色系を選ぶのか、青系の色を選ぶのかでも体感気温が変わるという。寒い冬は、部屋が暖かく感じられる暖色系を選ぶといいだろう。

 住宅で使うエネルギーの約4分の1を暖房が占めるとされる。部屋を暖める工夫は、家計の光熱費節約にもつながる。

■断熱性、家全体で高めて
 リノベーションで断熱を強化するとき、一部分にだけ断熱処理を施すと、そうでないところが冷えて結露の原因になることがある。部屋が水浸しにならないように室内をバランスよく暖めるためには、家全体の断熱性を高めておきたい。

(商品部 山田彩未、福島悠太)

[日本経済新聞夕刊2015年11月11日付]

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