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動画で画法学習、投稿も お絵描きアプリに進化形

2015/2/13 日本経済新聞 夕刊

 パソコンやスマートフォン(スマホ)を使ったお絵描きの楽しみ方が多様化している。手軽にイラストを描けるソフトやアプリは以前から数多くあったが、最近はただ描くだけではないユニークなアプリが目立つ。

 「Palmie」はイラストの描き方を動画で学べるiOS向けアプリ。「顔の描き方」「構図の取り方」といったテーマごとに、イラストレーターらがポイントを絞って解説する。レッスン動画はすべて無料だ。見やすいよう10分前後にまとめられており、その中でもさらにステップごとに分けて再生できる。動画は現在週2本程度のペースで追加されている。

イラストの描き方を動画で教えてくれるアプリ「Palmie」

 レッスンの題材は漫画・アニメ風のイラストに特化している。アプリを作成したSUPERFLAT(東京・港)の伊藤貴広社長は、海外展開を見据え「こうしたイラストは日本が誇るコンテンツで、世界中にファンがいる。自分で描く人が増えれば海外に文化が根付くきっかけにもなる」と話す。

 一口にアニメ風といっても、取り上げる絵柄はデフォルメされたものからSF的なタッチまで多彩だ。パソコンで描くことを前提としているが、基本的なテクニックは紙に描くときにも参考になる。

■かゆいところに手が

 かつて漫画家をめざして美大に通った伊藤社長は、写真やテキストだけでは描き方を学びづらいと感じていたそうで、動画にしたことで「かゆいところに手が届く」といった反響が届いているという。今後はより本格的な有料レッスンの追加を検討している。

 絵を描く過程をコミュニケーションのツールにしたのがアイビス(名古屋市)の「ibisPaint」だ。このアプリを使って描いたイラストをサイトに投稿すると、その作成過程が動画になってアップロードされ、どうやって描いていったのか早送りで見ることができる。イラストにはコメントをつけたり交流サイト(SNS)でシェアしたりする機能があり、ユーザー同士が日々交流している。

■想定を超えた交流

 途中経過をたどれることを利用して自己流の画法を紹介した投稿には「参考になりました!」とコメントがつき、「色を塗ってください」という線画に対して「塗らせていただきました」と題した完成形が投稿されることもある。同社の神谷栄治社長は「こちらが想定した使い方を超えて交流が広がっている」と話す。

 描画ツールにも力を入れており、種類の豊富なペン先やアニメのセル画のように層を重ねる「レイヤー」の機能も備える。アプリのファンというユーザーが、このアプリで描いたイラストで個展を開いたこともあるという。ペン型の道具などを使わずスマホに指で描くユーザーも多いそうだが、画面を自由に拡大できるため、慣れれば精緻なイラストも描ける。有料版は税込み400円(iOSのみ)で、無料版も広告が表示される以外は同じ機能が使える。

 自分の描いた絵が本物になったら……というわくわくを体験できるのがカブク(東京・渋谷)の「ボクスケ」だ。縦16×横16×高さ3のマス目に沿って描いたイラストがデータに変換され、3Dプリンターで出力できる。サイズはプリンター次第で拡大・縮小可能だ。現在、ダウンロードでの提供はされていないものの、同社に利用したい旨を伝えれば個別対応で配布してもらえる。

 これらのアプリを使えば、イラストの描き方を知ったりイラストを通じて交流を深めたり、楽しみが広がる。絵を描くのが好きな人もそうでない人も、自分なりの絵心を磨いてみてはいかがだろうか。

(電子報道部 森下寛繁)

[日本経済新聞夕刊2015年2月12日付]

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