スマホで手軽に「フリマ」 仲介機能で安全配慮も
「着なくなった服がすぐに売れるのがおもしろい」と話すのは都内在住の学生、岡部実結さん(19)。フリマのスマホ向けアプリ「フリル」を使って衣類や雑貨を売買している。これまでの取引は100回以上。早いときには出品して1時間以内で売れることもあるという。
女性の間で広がる
フリルは女性限定のサービスとして人気を集め、ダウンロード数は300万を突破。出品数は700万点でファッション関係が多い。衣類の6割程度は未使用のものが占める。出品手続きは簡単で、スマホのカメラで撮影、商品の状態と販売価格を記入する。投稿したあとは購入希望者を待つだけだ。
アプリを運営するファブリック(東京・渋谷)の堀井翔太社長は「(価格が上がっていく)ネットオークションと異なり、価格を下げるのがフリマの特徴」と話す。フリル上でも売り手と買い手がやり取りしながら価格を下げていく。人気商品には希望者が複数いることもある。その際は「売り手が誰に売るかを選べる」(堀井社長)。
やり取りとはこうだ。購入希望者は商品ページに「商品の状態を詳しく知りたい」「値段を下げてほしい」などと書き込む。ときにはどれだけ欲しいかを熱く訴えることもある。売り手はそれらを見たうえで買い手を選び、売るかどうかを決めていく。
取引相手の顔が見えないなかで安心感を高める仕組みも用意した。利用者に付く「成績」は、信用できる相手かどうかの判断材料になる。ある利用者について、過去の取引件数や配送、入金がスムーズだったかなどを取引相手が評価したものだ。
もし気に入った売り手がいれば、お気に入りに登録しておくことで、新たな出品を見逃さずに済む機能もある。
フリマのアプリで急成長しているメルカリ(東京・港)は1日に10万点以上が新規に出品される。家具や家電など幅広い品ぞろえが人気だ。「ソファやベッドなどを処分するため、引っ越しの時期に使う人も増えている」(榎阪健プロモーショングループマネージャー)
アプリのダウンロード数が900万を超え規模が大きくなるにつれて、同社が力を入れているのが安心できる取引サービスの強化だという。
仲介機能で安全
ネットを使った個人売買では「購入したのと違う商品が届いた」といったトラブルが絶えない。そのため、同社ではお金のやり取りを仲介する仕組みを導入している。買い手に商品が届いたことを確認してから売り手に代金を振り込む。
さらに都内と仙台市にカスタマーサポートの拠点を設けており、約100人体制で出品物を監視する。偽造品が交じっていないか、出品が禁止されているものが出回っていないかを見回る。利用者同士がトラブルになった場合、仲介する役割も担う。
「直接手渡し」を掲げるのが地域の掲示板情報のサイト運営を手がけるジモティー(東京・渋谷)。社名が表すように「地元」での取引を仲介するサービスだ。購入希望者は原則として出品者に実際に会って商品を受け取るのがルール。無償で譲るという場合も同様だ。同社は「手渡しすることで相手も商品の状態も確認できる」と強調する。サイトの訪問者数は月間300万人で、利用者は30代から60代までと幅広い。
アプリの特色を理解して、自分の好みに合ったフリマを探してみよう。
(電子報道部 古山和弘)
[日本経済新聞夕刊2015年1月15日付]
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