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レビー小体型認知症 睡眠時の異常など前兆に注意

2014/11/8 日本経済新聞 夕刊

 ボーッとしたり物忘れがひどくなったりして「認知症かな」と不安になる人は多いだろう。アルツハイマー病がよく知られるが、実は認知症の約2割は「レビー小体型」とみられる。発症の10年以上も前から、睡眠時の異常行動などの形で前兆が現れる場合もあるとわかってきた。症状は時間の経過とともに変わるので、患者の状態に適した薬の服用や治療が必要だ。

■最初は鬱の診断

 北関東に住む女性Aさん(78、当時)が関東中央病院(東京・世田谷)の神経内科を受診したのは2年ほど前だ。足取りがおぼつかなく、幻覚がひどかった。Aさんは別の病院の精神科でうつ病の薬を2種類処方されていたが症状は悪化したため、娘が「おかしい」と感じて病院を変えた。

 織茂智之神経内科部長は問診で、レビー小体型認知症を疑った。「小さな子供が遊んでいる」などと言う幻視があったからだ。認知機能はそれほど低くなく、手足の震えなどパーキンソン病のような症状は軽度だった。

 そこで、うつ病の薬の一つをやめ、もう一つも量を8分の1に減らした。代わりに認知症の薬を投与すると、Aさんの症状は改善し、はきはきと会話できるようになった。

 レビー小体型は特定のたんぱく質を主な成分とするレビー小体が、大脳皮質や脳幹などの中枢神経のほか、全身の交感神経に多数現れる。「ごはんの上を虫が動き回っている」といった幻視や、「男が隣の部屋からこちらをうかがい、妻を誘っている」などの妄想が現れる。

 パーキンソン症状や認知障害のほか、寝ている時に怖い夢を見たり大声を出したり寝ぼけて起き出したりするレム睡眠行動障害、便秘などになる患者もいる。抗うつ剤などに過敏に反応する傾向があり、ふらついて転倒や骨折の恐れも高まる。

 織茂部長は、抗うつ剤を減らし認知症薬のドネペジル塩酸塩(商品名アリセプト)などを適量投与して症状改善を目指している。患者が物事をより考えるようになって脳神経を使えば、神経細胞間の情報のやりとりが増え症状がさらによくなる好循環が期待できる。

■薬が保険適用に

 レビー小体は消せなくても病気の進行を食い止められる可能性がある。ドネペジルは今年9月、アルツハイマー病に加えてレビー小体型の薬としても承認され保険適用になった。「診断をきちんとすれば治療法はあるのに、レビー小体型を知らない医師も多い」と織茂部長は嘆く。

 レビー小体型を1976年、世界で最初に報告したのは小阪憲司・横浜市立大学名誉教授だ。今も首都圏のクリニックで約250人の外来患者を診ており、約6割がレビー小体型という。

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