五輪テーマのアスリート飯をビュッフェで 東京・銀座
2020年の東京五輪・パラリンピックの食材調達基準ともなっている農業生産工程管理(GAP)認証。この認証を受けた農家からの食材をふんだんに使ったビュッフェレストランが東京・銀座に登場した。常時40~50種類の料理を用意。過去の五輪をテーマにした料理も提供する。GAP認証を前面に押し出し、集客につなげる。
銀座インズ2(東京・中央)の2階に20日に開業した「グランイート銀座」。店内に入るとまず目に飛び込んでくるのが、契約している農家の一覧だ。同店の売りであるGAP認証を取得した契約農家の数は100に達する。料理に使う食材のうち、約9割がGAP認証を受けている計算だ。
GAP認証は食品安全や環境配慮、人権、労働安全など約100項目以上を満たした農家が認定される。12年のロンドン、16年のリオデジャネイロに続き、東京五輪でも選手村や会場に設置する飲食店で提供する食材はGAP認証の取得が条件となった。
食材のこだわりに加えて、同店を運営するグランイート(東京・中央)の武田泰明社長は「ライブ感を重視している」と話す。調理台を店内の中央に設置。てんぷらは客が好みの食材を選んでその場で揚げることができる。客の目の前で焼くなどの臨場感を意識しているという。
「アスリート飯」と称して五輪をテーマにした料理も出す。実際にロンドン五輪の選手村で出ていた豚肉をハーブなどと鍋で煮込んだ「豚とリンゴとセージのキャセロール煮込み」や、リオ五輪で出た野菜をふんだんに使いあっさりとした味付けの「清流美どりとコメとニンジンのブラジリアンスープ」をそろえた。
主要顧客と位置付けるのが女性客。特に焦点をあてているのが、様々な料理を一度に楽しみたいという「ビュッフェ好き」(武田社長)の30~50代女性だ。飽きさせないようにメニューは1カ月ごとに切り替える。
銀座は飲食店の激戦区。顧客獲得のため価格戦略でも差異化を図った。ディナーでは料理食べ放題とソフトドリンクの飲み放題で2時間、平日は3500円(税別)。アルコール代も含めると平均客単価は5千~6千円という。武田社長は「開店して数日だが、利用客からコストパフォーマンスがいいと言ってもらえる」と話す。
大手食品メーカーなどもGAP認証の原材料を取り入れ、GAP認証の契約農家は増加しているものの、世間であまり認知されていないのが実情だという。武田社長は「料理の質と高い満足度で来店客を集め、結果としてGAP認証が知られるといい」と意気込む。
営業時間はランチが午前11時~午後3時半、ディナーが午後5時~同10時。来年の東京五輪で注目を集める可能性があるGAP認証をアピール材料に位置付け、多店舗展開も視野に入れる。
(勝野杏美)
[日経MJ 2019年3月27日付]
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