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カツ+オムライス、越前の出合い ボルガ、腹にズシリ

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NIKKEI STYLE

福井県のほぼ中央に位置する越前市で味わえる「ボルガライス」。オムライスの上にカツを載せ、上からソースをかけた料理で、合併前の旧武生(たけふ)市だった約30年前からある。名前の由来が定かでないなど不思議なB級グルメだ。越前市に料理がどのように根付いたのかを探ってみた。

JR北陸本線の武生駅の近くの観光案内所で「グルメMAP」を受け取る。越前おろしそばなどと一緒に、ボルガライスの店が載っていた。店の1つで、街中にある洋食店、洋食のいし川に入った。壁のメニューの中に確かにあり、すぐに注文する。

店主の石川秋太郎さん(74)が真剣な表情でフライパンを振るいだした。カツを揚げた後、ご飯をいため、オムライスをつくっている。焼け焦げた香りが店内に広がる。最後にとんかつをのせて、目の前でソースをたっぷりかけてくれた。

スプーンでカツとオムライスを一緒にすくって、食べてみる。しっかりしたコクのあるソースの味がアクセントになっている。想像していたより、脂っこくはない。「オムライスやスパゲティでも使う自前のソース」と教えてくれた。

石川さんが洋食店を開いたのは1981年。約20年前にボルガライスがメニューに加わった。地元客から「オムライスがあるなら、作れるのでしょう」と頼まれたのがきっかけという。今や人気メニューで、この日、来店していた女子高生はペロリと平らげた。「しっかり食べたい気分の時は、ボルガ」と笑った。

◇  ◇  ◇

同MAPに「30年前から提供」とある郊外の喫茶店、カフェド伊万里に向かった。店主の奥野行子さん(69)は「1986年の開店に合わせて取り入れたメニュー」と教えてくれた。間もなく人気メニューになった。ボリューム感があり、夜勤明けの工場労働者から特に好まれたという。

当時、奥野さんに作り方を教えた人がいた。東京でコックの仕事をした後、福井県に住んでいた男性だ。「まかない飯の料理と聞いた。ただ、間もなくその方が亡くなり、名前の由来など詳細は分からない」とのことだった。

注文してみた。揚げたてのカツがまず、おいしい。少し甘めの特製デミグラスソースの味がカツやオムライスと調和し、おのずと食が進む。1軒目と味が異なっているのが面白い。

同MAPを見ると、気になる店があった。市郊外の観光施設、越前そばの里だ。そば店にもかかわらず、ボルガライスを提供している。別の日に訪ねてみた。

注文すると、オムライスの周囲に、そばのかりんとうが敷き詰めてある。そばをゆであげて、油で素揚げしたものだ。ソースでカツやご飯を味わった後の口合わせにいい。

担当の大崎修一郎さん(40)は「そばと一緒に越前市の食文化を広めようと、5年前にメニューに加えた。そばを作るための厨房で、洋食を作るのに大変な面はある」と話した。

料理の歴史について理解を深めようと、市民有志でつくる日本ボルガラー協会の会長、波多野翼さん(32)に会った。ボルガライスを通じて越前市の知名度を高めようと、2010年に結成。ホームページで提供する店を紹介している。

波多野さんは「30年以上前からある料理だが、発祥の店がはっきりしない。名前の由来もまちまちで、ロシアのボルガ川流域の料理に似ているという説などがある」とのことだった。

◇  ◇  ◇

協会が発足した当時、メニューにあったのは5店。今や約20店に上る。地元出身の漫画家、池上遼一さんが描いたポスターを張るなど、協会のPRで知名度が上がり、普及したのは間違いない。波多野さんは「それぞれの店が工夫し、独自の味を出している。個人経営の食堂が武生に多く残っているのも大きい」と指摘する。

ボルガライスはもともと日本にあった料理なのか。天谷調理製菓専門学校(福井県永平寺町)を運営する天谷学園の天谷祥子理事長(82)は「終戦後、朝鮮半島から引き揚げてきた日本人が昔を懐かしんで考えた料理かもしれない」と推測する。

終戦後、朝鮮半島にいた日本人の中にはロシア人と一緒に暮らした人もいて、彼らの料理を見たり、食べたりしたという。「料理として組み立て、ボルガという名前になったかもしれない」という。想像がかきたてられる点が料理の魅力の一つになっている。

<マメ知識>菓子にも、土産物に定着
 B級グルメとして定着し、多様な商品が登場している。菓子製造の日野あられ(福井県越前市)はボルガライス味のおかき「ボル菓(ぼるが)」を5年前に発売。デミグラスソースとケチャップの風味が楽しめるのが売りで、土産物に定着した。
 オタフクソース(広島市)は2015年、日本ボルガラー協会と共同で業務用のソースを商品化した。「ボルガライスというメニューを広めるツール」(同社)として提案し、社員食堂や外食のバイキングへの採用実績があるという。

(福井支局長 石黒和宏)

[日本経済新聞夕刊2017年6月20日付]

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