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混合診療の例外制度開始1年 申し出への承認まだ4件

治療条件の理解進まず

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NIKKEI STYLE

患者の求めに応じて、未承認の薬や医療機器を通常の保険診療と組み合わせて治療に活用できる「患者申し出療養制度」が始まって1年が過ぎた。ただ厚生労働省が治療計画を承認したのは4件のみ。新しい抗がん剤で、有効性や安全性が全く確認されていない使い方で制度の利用を求めてしまう患者もいる。制度を利用しやすい情報提供が課題となっている。

「自宅に帰りたい」。こんな男性入院患者の思いを知った大阪大病院(大阪府吹田市)の主治医は昨年夏、「患者申し出療養制度を活用し、植え込み型の補助人工心臓の手術を受けませんか」と提案した。

男性は重症心不全で長期入院中。心臓移植が必要な状態だが、腎機能障害のため移植は受けられない。補助人工心臓は保険適用となっているが、「心臓移植を待機していること」が条件。移植を受けられない男性は対象外だった。

主治医が提案したのは入浴しやすいなどの利点から、耳の後ろから電源接続用のケーブルを出す方法だ。海外では承認している国もあるが、日本では承認されていない。男性は制度の利用を申し出て、厚労省の専門家会議は今年2月、保険適用の対象外での利用を承認した。

自己負担が軽減

約3千万円の治療費は一部が保険適用になったことで、男性の自己負担額は約1千万円減った。男性の申し出を受けて他の患者も制度を使って迅速に利用できるようになり、男性のほか5人の患者が一部保険適用で利用できる予定だ。

同病院心臓血管外科の澤芳樹教授は「未承認の治療法の適用範囲が広がることで、患者の救済につながる」と評価する。

この制度はこのように保険適用の条件や保険適用に向けた臨床試験(治験)などの条件に合わない患者が対象だ。日本はこうした保険適用外と保険適用の治療を同時に行う「混合診療」は原則禁止だが、患者負担を軽減するため、例外として昨年4月に始まった。

これまでも混合診療は「先進医療」として、厚労省が一定の有効性と安全性を認めた治療法で容認していた。今回は先進医療の対象にならない患者に対象を広げた形だ。

こうした混合診療を受けられる病院は未承認薬ならば全国で100カ所程度だったが、新たな制度では抗がん剤ならば400カ所に増え、身近な病院で治療も受けられるようになった。

申し出は新規の場合、原則6週間で審査する。ただ承認は大阪大病院の補助人工心臓のほか、東京大病院(東京・文京)の胃がんの腹膜への転移に対する新たな抗がん剤治療など申請のあった4件のみだ。

同じ条件で治療を受ける患者を加えると、恩恵を受ける患者は140人を超える見込みだが、軽減されるとはいえ、保険適用外の負担が高額なことが壁になっているとみられる。

病院、対応に苦慮

制度の利用を望む患者への対応に苦慮する医療機関もある。

「新しい抗がん剤のオプジーボを使えないでしょうか」。昨年度、国立がん研究センター中央病院(東京・中央)の相談支援センターにこうした相談が寄せられた。

オプジーボは免疫機能に作用し、多くのがんに効くことが期待されており、国内では肺がんなど順次、保険適用の範囲を拡大。だが相談では治験すらしていない治療法もあり、理解を求めるのに時間がかかったという。

オプジーボは未承認の併用療法で重い副作用が出た患者もおり、日本臨床腫瘍学会は昨年7月に注意喚起している。

同病院の藤原康弘副院長は「承認された標準治療を『松竹梅』の『梅』と考え、未承認の治療法の方が優れていると考える患者もいる。だが有効性も安全性も認められていないことを理解すべきだ」と強調する。

全国がん患者団体連合会(東京・世田谷)の天野慎介理事長は「制度の利用を検討する際、参考となる治験情報などが様々なサイトに分散していることも問題」と指摘する。「米国などのようにこうした情報を一元化し、患者が理解できる内容で紹介していくことが必要だ」と話している。

◇  ◇  ◇

患者の希望と厳格性 板挟み 厚労省

制度開始から1年が過ぎた患者申し出療養制度を巡り、厚生労働省は運用面の見直しに向けた検討に着手した。同制度は将来の保険適用を目指し、臨床研究としてなされるが、研究水準をどこまで求めていくかが焦点になっている。

新薬の承認申請に向けた治験では、患者の状態などをそろえて、治療効果や副作用の影響などのデータが得られやすくしている。一方、同制度は患者の願いに応えることを理念として掲げているため、患者の状態などがそろいにくく、十分なデータが得にくい。厚労省も患者の願いと臨床研究としての厳格性をどのようにバランスを取るかで頭を悩ませている。

同制度では、臨床研究として一定の症例数で区切ることになっている。症例数を超える希望があった場合、有効性や安全性が確立していない医療技術を患者の願いという名目だけで広げていくわけにもいかず、どのように対応していくかが課題になっている。

(辻征弥)

[日本経済新聞朝刊2017年5月15日付]

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