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親子丼 実は東京がふるさと 流れる卵、鶏肉ひきたて

2017/5/2付 日本経済新聞 夕刊

別亭鳥茶屋(神楽坂)の親子丼。訪れる8割の客が注文する親子御膳(1540円)

 鶏肉を割り下などで煮ながら卵汁でとじ、ご飯の上に載せる「親子丼」。庶民的な食べ物と思われているが、都内では、ランチタイムで1500~1600円という名物親子丼に列ができる。材料や調理方法へのこだわりが人気の秘訣のようだ。

 古くは花街として栄えた神楽坂。「芸者小道」と呼ばれていた石畳の途中に別亭鳥茶屋(東京・新宿)がある。うどんすきの名店だが、ランチタイムには、親子丼目当ての客がひきもきらない。

 昼食営業が始まる11時半、厨房は一気に忙しくなる。料理人の塩沢善四郎さん(65)が7つのガスコンロとその周りに親子丼用の親子鍋を並べて、一人前ずつ具材を調理する。「コツは卵をふんだんに使い、卵を入れたら鍋をあまりかき回さないこと」。「ふわ~とろ」になったところで、丼に盛ったご飯の上にサッと移す。

 別亭鳥茶屋は1999年開店。半年後にランチタイムに親子丼を出すが、うどんすきの名店として、食材にこだわった。割り下のだしには天然の利尻昆布を使用。鶏は、ワインのぶどうの搾りかすを配合した独自飼料を与えて、肉を軟らかくした富士高原どり。卵は岩手県の南部どりの赤玉。親子丼は980円だが、鉢物、煮物、デザートで1540円の親子御膳を注文する人が8割を占める。

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 25年前に、鳥つね本店(東京・文京)の支店として外神田にオープンした鳥つね自然洞(東京・千代田)。「好きなようにやっていい」と店を任されたものの、ほとんど人通りがなく、店長の佐々木久哉さん(53)は「味で勝負するしかない」と比内地鶏と名古屋コーチンを使う高級鳥鍋の店を目指した。

 昼食時は開業直後から一般の銘柄鶏を使った1000円の親子丼と限定メニューで出していた比内地鶏と名古屋コーチンを使う1500円の特上親子丼を提供してきた。一貫して人気を保つのは特上親子丼の方だ。現在は1600円で限定20食で販売しているがすぐに売り切れる。

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