紫外線対策は4月から 日焼け止め、シーンで使い分け
春の陽気に誘われ、お出かけしたくなる季節。気になるのが日焼けだ。紫外線は浴びる前の対策が欠かせない。日焼けを防ぐためにも、紫外線と日焼け止めの特徴を知っておきたい。
紫外線は季節や天候にかかわらず降り注ぐ。曇りでも晴れの日の半分以上出ており、対策が欠かせない。資生堂ライフサイエンス研究センターの佐藤潔さんは「紫外線といえば夏といったイメージがあるが、実際には4月から増え始める」と指摘する。
服は濃い色 照り返し注意
外出の際は服装を注意したい。紫外線のカット加工が施されたものが最適だが、黒や青、紺など濃い色のタイプも紫外線を防いでくれる。ポリエステルや羊毛など、目の詰まった素材の方がより紫外線を防ぐ。
特に見落としがちなのが「地面からの照り返し」(佐藤さん)だ。紫外線は地面にぶつかると反射して、下から跳ね返ってくる。芝生やコンクリートの反射率は1~6%と小さいが、アスファルトだと10%、砂になると15~20%に増える。水面では20~40%、雪面だと80~95%だ。雨上がりの公園やグラウンド、芝生で過ごすときには、いつも以上に念入りな対策が必要だ。
直射日光は帽子や日傘、サングラスである程度防げるが、反射した紫外線はまず足元にくる。足首が露出しているジーンズなどは要注意だ。首元へも跳ね返ってくるため、肌が出ている部分にはしっかりと日焼け止めを塗ろう。
日焼け止めは紫外線のタイプに応じて使い分けたい。紫外線にはUVA、UVB、UVCの3タイプがある。C波はオゾン層で遮られる。注意が必要なのは地上に届くA波とB波だ。
A波は皮膚の奥に届き、肌を黒くする。シワやたるみの原因となり、肌の弾力を奪う。日焼け止めではPAという指標が参考になる。A波を防ぐ効果を示す目安で「+」の数で効果の大きさを表す。最大は「PA++++」だ。
B波はA波と比べ、エネルギーが強い。浴びると肌が赤く腫れあがり、そばかすや乾燥を引き起こす。B波を防ぐ日焼け止めの指標はSPFで、「SPF20」などと表現する。これは塗る前に比べ、日焼けするのに20倍の時間がかかることを表す。最大は「SPF50」だが、その上には「SPF50+」もある。
肌がヒリヒリする一般的な日焼けはB波によるもの。しかしB波が紫外線全体に占める割合は10%ほど。残りはA波だ。佐藤さんは「A波による肌の黒みは10分ほどで消えることがほとんどで自覚症状も少ないが、長時間浴び続ければ黒みが落ちにくくなるA波対策が欠かせない」と指摘する。
日焼け止めを使うときには、PAやSPFといった指標を参考にしたい。たとえば買い物や散歩などの日常生活では両指標が低いタイプ、炎天下でのレジャーは高いタイプを使う。佐藤さんは「PAとSPFの両方が高いものを使うと効果的だが、肌への負荷も高まる。生活シーン別に使い分けるのがいい」と話す。
重ね塗りコツ 髪の分け目も
紫外線は時間帯によっても量が変わる。銀座ケイスキンクリニックの慶田朋子院長は「午前10時から午後2時までは注意が必要。その間に一日の半分以上の紫外線が降り注いでいる」と話す。ゴミ出しや洗濯物を干す時にも、帽子や長袖などで対策を心がけたい。
日焼け止めの塗り方にはコツがある。慶田院長は「肌に塗り、なじんだらもう一度塗るのがいい」と助言する。顔に塗る場合は額、ほほ、鼻、顎に適量を付け、隅々までなじませる。細かいところは薬指の関節を使ってムラなく塗っていく。ファンデーションを重ねれば、粒子による紫外線カットも期待できる。
腕や肩、足には線状に日焼け止めを滑らせ、円を描くように塗る。耳の裏や首の後ろなど、塗り忘れが多い場所にも気を配りたい。髪の分け目にも薄く塗るのがいい。ただ、日焼け止めは時間がたてば汗や皮脂によって落ちる。「屋外では2時間に1回は塗り直したい」(慶田院長)
乳幼児は肌が薄く、大人よりも紫外線の影響を受けやすい。子ども用の日焼け止めや帽子、ベビーカーの日よけなど、なるべく日が当たらないよう注意が必要だ。万全な対策で気持ちいい春を迎えたい。
(田村匠)
[NIKKEIプラス1 2017年3月25日付]
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