ドライアイやスマホ老眼 目の疲れ、職場で防ぐコツ
画面から40センチ/こまめに瞬き
パソコンやスマートフォン(スマホ)に囲まれたビジネスパーソンの目は酷使され続けだ。乾いたりかすんだりの不調を抱える人は多い。こうしたトラブルを未然に防ぎ、さらには改善する方法をまとめた。少しの違いで印象が様変わりするなど目の周りはイメージアップのためにも重要パーツ、ケアも心掛けたい。
「目がごろごろするし、ひどいと充血することも。鏡を見るのも嫌だし人に会うのもおっくうになる」とこぼすのは保険代理店勤務の女性(25)。職場ではパソコンの前に座りっぱなしで「ふとモニターから目を上げると2時間くらいたっているのもしょっちゅう」。目の乾きや疲れがあるが「仕事柄仕方ない。専ら目薬に頼っている」と半分さじを投げている。
エアコンで乾燥
「パソコンを多く使うオフィスワーカーの7割近くがドライアイと言われている」と話すのは眼科専門医の平松類氏。エアコンで乾燥した環境に加えモニター画面を見る時、人の瞬きの回数は、通常の1分20回が5回程度まで落ちる。涙の量が半分以下に減れば乾いて当然だ。
「意識的に瞬きを増やし、作業の合間に目を閉じるように」と平松氏はすすめる。昨今はフレーム脇に保湿タンクのついた眼鏡も出ているので、その使用も助けになる。タオルを温めたり市販の専用品を使ったホットアイパックも血流を促し、涙の状態を改善してくれる。「昼休みにパックすれば疲れもとれ午後の仕事もはかどり効果的」
最近ではさらに「スマホ老眼」という症状も若い世代のビジネスマンなどに増えている。目の酷使が原因で起きる調節機能障害の一つで、視線を遠くから近く、近くから遠くへ移した時にピントが合うまでに時間がかかる、夕方になると朝見えていた手元が見えにくいといった老眼に似た症状が表れる。
パソコンやテレビも目に良くないと言われて来たが、スマホはより至近距離で、小さい画面で細かく動く物を長時間じっと見続けることになるので目の負担が大きくなり、不調を覚える人が出たというわけだ。
通常の老眼が加齢で水晶体が硬くなって起きるのに対し、スマホ老眼は近くを見続けることで目のピントを合わせる毛様体筋という筋肉が疲れて硬直し、調節能力が低下するのが原因とされる。一種の筋肉疲労なので意識的に目を休めれば症状は収まるという。
対策はというと「目を疲れさせないこと」(平松氏)とシンプル。「画面との距離をとる、適度に休み、こまめに瞬くことを習慣にするとよい」。具体的にはスマホの場合、目から40センチメートルほど離し、文字表示は大きめにする。画面も暗めにして刺激を和らげる。画面が揺れる通勤電車内や歩行中、寝ころんでのスマホ使用も抑えた方がいい。
眼鏡もチェック
またパソコンワーク中は、1時間に1回は視線を遠くに外すこと。モニター画面から出て目に良くないとされるブルーライトを抑制する眼鏡を活用してもいい。ブルーライトカット眼鏡「ジンズ・スクリーン」を販売するジェイアイエヌの渡辺里実さん(マーケティング室)は「ライトカット率は3種ある。ブルーライトは睡眠も妨げるので帰宅後はカット率の高い『ナイト・ユース』がおすすめ」と話す。
眼鏡ユーザーなら同時に眼鏡もチェックするといい。「あなたの眼鏡はここが間違っている」(講談社)の著書がある眼鏡スタイリストの藤裕美さんは「使用中の眼鏡が今ひとつと感じるなら、フィッティングを改めてほしい」とアドバイスする。
こめかみにつるの跡がついたり下を向くとずれ落ちたりするようなら再調整が必要だ。「的確なフィッティングの眼鏡はずれ落ちず疲れない。逆に合わないと見た目が悪いだけでなく、眼精疲労の原因にもなる」
かけ位置もポイントだ。実は多くの人が少し下過ぎる位置で眼鏡をかけているという。「心もち上にかけるだけで眼鏡を変えなくてもかけ心地も見た目の雰囲気も様変わりする」と藤さんは話していた。
(ライター 村樫 裕理子)
[日本経済新聞夕刊2017年3月6日付]
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