カロライン・フート号が来た! 山本有造著
米国商人巡る破天荒な展開
ペリーの来航で、日米和親条約がむすばれたのは1854年である。通商条約締結のためにハリスがやってきたのは、2年後の56年。じっさいに、両国間の合意がなりたったのは、58年であった。
この本は、ペリーとハリスの間におこった騒動をしらべ、われわれにつたえてくれる。通商条約以前に下田港へはいったフート号には、ぬけめのない米国商人がいた。日本での一儲(ひともう)けをねらったその振舞(ふるま)いと、日米両国の対応がおもしろい。貿易の型がかたまる前の破天荒な展開が、読み手をわくわくさせる。
海をこえた為替は、どうあつかわれたか。交換レートの問題は。そして、商人の妻は、その美貌でも周囲の日本人たちを、ときめかせていた。
★★★★
(風俗史家 井上章一)
[日本経済新聞夕刊2017年2月23日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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