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子どもの学び

夜に眠く、昼に元気になるのはなぜ?

NIKKEIプラス1

2017/2/18付 NIKKEIプラス1

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■夜に眠く、昼に元気になるのはなぜ?

スーちゃん 晩ごはんを食べ終わって宿題をやろうと思ったら、あくびが出てきちゃった。なんで夜になると眠くなってしまうのだろうね。明るいときは体が元気になるのも不思議だね。人間の体はどうして1日のリズムが分かるのかな。

■体の中に生活リズムを刻む時計があるんだ

森羅万象博士より 1日の長さが24時間であるように、人間などの生き物も24時間のペースで生活しているよ。生活のリズムを知る仕組みが体のすみずみにあるんだ。心臓(しんぞう)や肝臓(かんぞう)、腎臓(じんぞう)など全ての臓器(ぞうき)が「時計」を持っているよ。この時計を「体内時計」と呼んでいる。

 体内時計の正体は、体にある「たんぱく質」という物質の集まりだよ。本物の時計では、多くの部品が一緒になって針を動かすよね。体内時計では、決まった時間にたんぱく質が働いて時刻を教えてくれる。実際の体内時計は24時間よりも少し長い時間を計れるけど、1日に合わせて24時間にしているそうだよ。

 体内時計がたくさんあるからといって、勝手に動くと迷っちゃう。中心になる時計が時刻を調節しているんだ。頭の中の脳(のう)にある「親時計」だよ。神経などを通して、いろんな臓器にある「子時計」のリズムを合わせているんだ。

 この親時計と子時計が連絡を取り合って24時間のリズムを刻むよ。親時計を調節するのは光だ。朝に日光などを浴びると、24時間のリズムに合うよ。左右の目から入った光の信号は神経を通って脳に届く。親時計はその途中にあり、光の信号を受け取る。決まった時間に日光を浴びると、親時計のリズムを保てるよ。

 子時計は朝ごはんでも調節するよ。夜に寝ていると何時間も何も食べないよね。長時間にわたって空腹(くうふく)になった後にごはんを食べると、子時計のずれを直す仕組みなんだ。

 人間の体は、体内時計の時刻に合わせて変化している。夜は眠りやすくするホルモンが出て、体温が下がる。昼は体を動かすのに使う糖(とう)を増やすホルモンができるよ。体温が上がって、盛んに動けるようになるんだ。

 夜遅くまで遊ぶと、体内時計がずれてくる。眠れなくなったり、体の調子が悪くなったりする。海外旅行では、日本が夜の時間に外国は昼のときがある。体内時計が乱れて、頭がぼーっとする時差(じさ)ぼけになるよ。強い光を浴びても、親時計は1日に3時間くらいしか動かない。海外で親時計がずれると、慣れるまでに時間がかかるよ。

 便利な生活は体内時計が乱れやすい。夜にスマートフォンやコンビニエンスストアで強い光を見ると、親時計がずれる。朝だと勘違いして、眠れなくなってしまう。夜食をだらだらと食べていると、子時計がずれるよ。空腹にならず、朝ごはんを食べてもリセットされにくくなるんだ。

 1日のリズムは体の調子や病気にも関わる。朝は、ぜんそくやアレルギー性鼻炎(びえん)が多くなるそうだ。血管がつまる病気も増える。夜は、血管が破れる病気が多くなるんだ。

 1日の中で勉強や運動がよくできる時間帯があるよ。午前は集中力が高くなり、勉強がはかどるよ。午後は体力が高まり、運動にふさわしいんだ。勉強や運動をがんばるには、体内時計のリズムを保つことが大切だよ。「早寝、早起き、朝ごはん」が体内時計を整える秘訣(ひけつ)なんだね。

■季節を知らせる時計も

博士からひとこと 時計は1日に24時間のリズムを刻むが、時の流れには1週間、1カ月、1年といったリズムもある。日本には四季も知られる。最近の研究では、季節のリズムを刻む体内時計があると分かってきた。クマやリスなどが冬になると眠り続ける「冬眠」も、体内時計と関係があるとみられる。
 冬になると日の出の時間が遅く、夏になると日の出の時間が早くなる。日が差し込む時間が早くなると、脳から「春ホルモン」と呼ぶ物質がつくられるそうだ。冬が近づくにつれて、つくられる量がだんだんと減ってくる。こうして四季の変化を体が感じ取るようだ。

(取材協力=深田吉孝、上田泰己・東京大学教授)

[NIKKEIプラス1 2017年2月18日付]

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