「ジュニア」と「官能」の巨匠 富島健夫伝 荒川佳洋著
「流行作家」支えた一流の文章
富島健夫という作家がいた。今でも覚えている人は多いだろう。ジュニア小説と官能小説を書き続けた「流行作家」だった。
この二つのジャンルは性を描くという共通点こそあるものの、正当な評価を得にくい小説でもあった。事実、富島への評価は、黙殺のそれに近かった。発表媒体の問題もあるが、評論家からは低く見られ、テレビでは酷評された。それでも富島は書き続けた。没するまで一貫して「流行作家」たり続けた。さらに言えば、彼の小説を支えていたのは、一流の文章だった。
生前の富島と親交をもった著者による詳細な評伝は、生い立ちからスキャンダル、その死までを語り尽くす力作。『雪の記憶』や『黒い河』の再評価を!
★★★★
(批評家 陣野俊史)
[日本経済新聞夕刊2017年2月16日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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