日韓関係なぜ悪化? 少女像問題が再燃 長期化も
記者団の取材に応じる、一時帰国した長嶺安政駐韓大使=1月10日午前、首相官邸
最近、日本と韓国の関係がずいぶんギクシャクしているわね。韓国の政治の混乱も影響しているようだけど、これからどうなるのかな。
日韓関係をテーマに、坂東橋なおさん(45)と安斎あずささん(56)が池田元博編集委員の話を聞いた。
日韓関係が再び険悪になっていますね。
「きっかけは昨年12月28日、韓国南部・釜山の日本総領事館前の路上に韓国の市民団体が旧日本軍による従軍慰安婦問題を象徴する少女像を設置したことです。当初、地元の釜山市東区の職員が道路法違反を理由に撤去しましたが、同区役所などに抗議の電話が殺到しました。その結果、2日後の30日に区長が一転して少女像の設置を許可すると発表し、市民団体は大みそかに少女像の除幕式を開きました。ソウルの日本大使館前に続いて、日本の外交公館の目の前に少女像が置かれることになったわけです」
「日本政府は強く反発し、韓国政府に少女像の撤去を求めましたが、韓国側は応じませんでした。そのため、日本政府は今年1月6日、駐韓大使と釜山総領事の一時帰国や、金融危機などの際に日韓両国で外貨を融通し合う通貨交換(スワップ)の再開に向けた協議の中断など4項目からなる対抗措置を発表し、大使と総領事は同9日に日本へ帰国しました。その後、日韓両国の交渉は膠着状態に陥り、大使と総領事は現在も韓国への帰任のメドが立っていません」
一昨年12月に慰安婦問題で日韓両国政府の合意があり、日韓関係は改善に向かっていましたよね。
「2015年12月、日本の岸田文雄外相と韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が会談し、両国は『慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する』と表明しました。そして韓国政府が元慰安婦を支援するため設立する財団に日本政府が10億円を拠出することで合意しました。韓国政府はソウルの日本大使館前の少女像について『適切に解決されるよう努力する』と約束しました」