もらった花束、長く楽しみたい
春になると、卒業式や送別会などで花束をもらう機会が増えます。とてもうれしいけれど、飾り方が分からず、悩みます。花を長く楽しむコツを教えてください。
複数の花器にアレンジ
花束をもらったとき、どう飾るといいのだろう。日比谷花壇のシニアデザイナー、西沢真実子さんは「茎を結ぶヒモや輪ゴムはほどかず、そのまま花器に生けましょう」と話す。ブーケは花を扱うプロが、全体の美しさを見ながら配置を考えてデザインしたもの。まずはその世界観を楽しみたい。
花器は清潔なものを使い、水は汚れたら替える。ブーケは結んだ状態で茎の下部を1~2センチこまめに切る。気をつけたいのは置く場所だ。冬場は暖房の風が当たる場所は避ける。玄関や廊下、トイレなど涼しい所に置くと、この時期はかなり長持ちする。
水替えのタイミングで枯れた花を見つけた時は、すぐに取り除く。放置しておくと枯れた花が出すエチレンガスで周りの花も枯れやすくなる。生き生きした花が減り茎が短くなると寂しい気持ちになるが、むしろそこから楽しみ方の幅が広がる。
まずは花束をほどいて花の特徴をつかもう。ガーベラやマムなど茎がけば立ったものは水に長くつかるとバクテリアが付着し、ヌルヌルして腐りやすい。水替えの時に茎のぬめりも流水で洗って清潔に保つと長持ちする。
花器も替えてみよう。高さの低いものを2~3個用意し、それぞれに分けて飾るとかわいらしい雰囲気を演出できる。1種類の花だけまとめて飾るのも1つの方法だ。
例えばこれからの季節にぴったりなチューリップやスイートピーは「横から見た時のラインがとてもきれいな花。あえて単独で飾ってほしい」と西沢さん。チューリップは明るく温度の高い部屋では茎がよく伸びる。フラワー&グリーンスタイリストのさとうゆみこさんは「朝と晩で違う顔を見せるチューリップは口が広めの花器にゆったりと飾り、茎が自由自在に動く様子を楽しんでいる」と話す。
花器は家にある空き瓶などを代用すれば良いが、大きな花束を飾るとなるとなかなか代用品が見つからない。さとうさんは1つ買うなら「ガラス製で高さ20センチ弱、直径10センチ程度の花器は花束を飾りやすく、とても使いやすい」と話す。西沢さんは「自分が気に入ったものを買って、花がない時もインテリアとして飾ると良い」と助言する。花を生け続けるのは金銭面でハードルが高いが、アイビーなどの葉やユーカリなどの枝であれば比較的安く、長持ちする。お気に入りの花器に生けて楽しもう。
飾る空間 余白を意識
せっかくすてきな花を生けても、部屋の中でうまく飾れず悩んでしまう人は多い。さとうさんは「ごちゃごちゃしていると花の良さが引き立たず残念な結果になる」と話す。インテリアの一部として棚に飾る時は「花の周りに余白を意識し、引き算の法則を心がける」。物が多すぎるなら棚から下ろす。花と同じくらいの高さのものをそばに置くと花が目立たなくなるので避けた方がいい。
複数の花器に分けた場合、何カ所かに分けて飾らないといけないと思いがちだが、そんなことはない。さとうさんは食器の入ったキャビネットの一角に複数の花器を置いている。生花店のようでおしゃれに見える。ガラス製のものだと複数あっても重たい印象にはならない。
部屋に花を飾る時は、どの位置から見るかを考えよう。例えばソファに座って見上げることが多い部屋の場合。上から見ることを想定して作られたブーケを棚に飾っても、ソファからだと茎ばかりが目に入ってしまう。「生ける時に横から花がきれいに見えるように位置をずらそう」(さとうさん)
上から見下ろすことが多い食卓には、ボリュームを落として、上からきれいに見えるように生ける。廊下など歩きながら見ることが多い場所では大きめの花器に枝物を入れて床に置くなど、視線を意識して飾ろう。
(坂下曜子)
[NIKKEIプラス1 2017年2月11日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。