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子供に安心のゲームアプリ 全編楽しめ、追加課金なし

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NIKKEI STYLE

スマートフォン(スマホ)で遊ぶゲームアプリといえば、無料でダウンロードして、お金に余裕のある人が追加課金するのが一般的だ。しかし、任天堂の「スーパーマリオラン」がヒットしたことで、「買い切り型」で追加の課金がないタイプのアプリがここにきて脚光を浴びている。

「1200円でこれだけ品質の高いゲームで暇つぶしができる。決して高くない」。東京都内の企業に勤める40代の男性は自分のスマホにダウンロードした「マリオ」について、こう話す。休憩時間や駅での待ち時間などに、少しずつステージを進めたり、ほかのプレーヤーと競ったりしているという。

1週間で5000万DL

スーパーマリオランは昨年12月に任天堂が米アップルの「iPhone」向けに投入したアプリ。無料の体験版ステージが用意されているが、そこから先を遊ぶには1200円(米国の場合は9.99ドル)を払う必要がある。ただし一度払えば、全ステージで遊べ、一切課金されない。

当初は価格設定が高すぎると批判する声もあった。だが、わずか1週間ほどで世界で5000万ダウンロードを突破し、人気ゲームとなった。スマホアプリの調査分析を手掛ける米アップアニーは「ブランドとの結びつきを感じられるようになると、そのブランドにお金を使う傾向が強くなる」と説明する。「マリオ」という国内外で長年親しまれているキャラクターが、ブランドとして利用者に価値を感じてもらえた格好だ。

同様にスマホ向けの買い切り型ゲームとして定着しているのが、スクウェア・エニックスの代表的なロールプレイングゲーム、「ドラゴンクエスト」と「ファイナルファンタジー」シリーズだ。いずれも最初のタイトルから約30年の歴史を持つ長寿作で、多くの世代に響きやすい。「その名を聞くだけで懐かしい」と思う人をターゲットにして、歴代の主な作品をスマホ用にタッチパネルで操作できるように作り替えた。

価格は数百円から最高で2800円(セール期間などを除く通常価格)と、無料ゲームもある中で安くはないかもしれない。それでも、子供のころに「ドラクエ」を楽しんだ30代の男性は、「昔は数千円を払ってゲームソフトを買っていた。スマホでどこでも遊べるのならば、高いとは思わない」という。

一定の品質を保持

このほかにも、人気ランキングで常に上位に食い込むゲームアプリ「マインクラフト ポケットエディション」(840円)がある。ブロックを積み上げて自分の好きな世界を作って遊ぶ。アクションゲーム「グランド・セフト・オート・サンアンドレアス」(840円)も家庭用ゲーム機向けの人気タイトルをスマホ向けに作り替えたもの。ゲーム機向けのヒット作品がアプリに使われることが多いのは買い切り型の特徴だ。

ゲーム以外にも「フェイスチューン」「Analog Film」シリーズなどスマホカメラの機能を向上させるアプリで数百円の買い切り型は多い。玉石混交の無料アプリに比べ、買い切り型は一定の品質が保たれているものが多いことも、注目されるポイントかもしれない。

アプリの開発会社によると、売り上げが予測しづらい「基本無料で追加課金」のモデルに比べ、買い切り型は予算を立てやすいので開発投資が確保しやすいという事情があるそうだ。

基本無料で追加課金する場合、ゲームにのめり込んで多額のお金を使ってしまうこともある。射幸心をあおるゲームに月間数十万円をつぎ込む人が現れ、かつて社会問題になった。

特に親にとっては、追加課金の発生しない買い切り型は、子供に利用させる場合に安心できる面もある。こうした点をアプリ選びの参考にしてはどうだろうか。

(メディア戦略部 北爪匡)

[日本経済新聞夕刊2017年1月26日付]

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