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就活OB訪問、アプリが仲立ち 相手探せる『存在感』

 

2017/1/5付 日本経済新聞 夕刊

 年も明け、大学3年生は就活に向けて走り出す時期だ。企業の広報解禁が3月、面接開始が6月と短期決戦の就活では、事前のOB訪問で業種や企業を見定めることが重要になってくる。訪ねる相手を気軽に探せるスマートフォン(スマホ)のアプリも、存在感を増してきた。大手就活サイトの情報だけに頼らず、積極的に社会人の声を聞く就活のスタイルが広がりそうだ。

就活生のOB訪問を支援するアプリ「マッチャー」

 「著名な起業家にも会えて視野が広がった」。都内私大4年生の奥岡権人さん(23)は、そんなアプリ「マッチャー」を手放せない。マッチャーのサービスを通じて2016年の就活中に約60人の社会人と会い、「自分を知ることの大切さを学び、実力がついた」。人材関連会社の内定を得て、今はアプリを通じて後輩の相談にも乗る日々だ。

 このアプリは同名のベンチャー、マッチャー(東京・新宿)が16年9月に公開。同年2月に始めたネットサービスの使い勝手を高めた。OB訪問に協力したい社会人に社名や職種などの登録を呼び掛けており、同様に校名や志望業種などを登録した学生は訪問相手を検索できる。会ってみたい社会人にメッセージを送り、面会につなげる。

■マッチングを加速

 社会人側で「就活の相談に乗るので大学での流行を教えて」といった交換条件を示す形式。マッチャーの西川晃平社長は「学生も恐縮せずに使える」と利点を訴える。アプリならスマホをみればメッセージの到着をすぐ確認できる。16年12月時点で累計2万件の社会人と学生のマッチングが、「アプリで加速している」と西川社長は話す。

 同様のアプリは増えている。OB訪問支援のビジッツワークス(東京・港)は、15年12月に運用を始めたサイト「VISITS OB」の機能を利用できるアプリをきょう正式公開した。このサイトはトヨタ自動車や三井住友銀行など250社超が参加。学生は登録されている社員に面会を申し込める。いわば「企業公認」のOB訪問の枠組みだ。

 1対1のやりとりのほか、社会人側から不特定多数の学生にセミナーや座談会への参加を呼び掛ける機能も備える。アプリ投入で「スマホを使う手軽なメッセージのやりとりに慣れた学生に親近感を持ってもらえる」と、松本勝社長は期待する。

 就職・転職支援のリーディングマーク(東京・目黒)の運営するサイト「レクミー」は、15年12月にOB訪問仲介機能を追加し、16年2月にアプリを公開した。利用者の声を参考に、社会人のプロフィルの記載方法を工夫。短い「ひとことアピール」で、「会ってみたい」というイメージをつかみやすくした。

 「社員10人ほどのベンチャーの社長をアプリで検索した学生が、ぜひ会いたいといって就職を決めたという事例もある」(飯田悠司社長)という。社会人側から学生を検索して面会を求めることもできるのも特徴だ。

■人事担当と対話も

 IT(情報技術)ベンチャーのギブリー(東京・渋谷)が15年12月に公開した「LIFE」は、「企業と友だちになれる就活アプリ」と銘打つ。参加企業が公開する社内の様子などに興味を持った学生が申請すれば、対話アプリのLINEの感覚で気軽に人事担当者とやりとりできる。OB訪問に直接つながるわけではないが、「OBを訪問しにくい地方の学生も、企業との心理的距離を縮められる」と、山川雄志取締役は説明する。

 これらのアプリは、いずれも個人の利用は無料で、米アップルの端末に対応。LIFEは米グーグルの「アンドロイド」対応端末向けアプリもある。他の3社も早期投入を検討している。企業にとっても、学生に社員を知ってもらえば採用のミスマッチ抑制にもつながり、意義は小さくない。アプリで手軽に社会人とつながる就活のスタイルは、さらに普及しそうだ。

(メディア戦略部 岩崎航)

[日本経済新聞夕刊2017年1月5日付]

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