劇場版アニメ『モンスト』 スマホ発、スターキャラ?
2015年度の市場規模が9000億円を超えたスマートフォン(スマホ)向けゲーム。ブームをけん引してきたコンテンツの代表格が、ミクシィの「モンスターストライク」(通称モンスト)だ。13年からスマホ向けに配信され、今年、世界の累計利用者数は3500万人を突破。12月10日からは初の劇場版アニメ「モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ」が公開される。
アニメ化そのものは昨年10月にスタート。インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」に短編の配信を始めた。先輩格「ポケットモンスター」や「妖怪ウォッチ」の主舞台がテレビ放送だったのに対し、ユーチューブを選んだのはゲームの利用者がそのままスマホで見られるようにとの考えからだ。長時間の作品は好まれないと分析し、1話は約7分。今も毎週土曜日に新作を発表している。
視聴者の意見を積極的に取り入れる双方向アニメをうたい、反響にあわせて脚本やキャラクター描写を随時刷新。こうした新しいスタイルが評判となり、これまでに配信された約50話の再生回数は1億回を超える。ゲームから派生したネット配信のアニメでは初の成功例だ。
ミクシィのアニメプロデューサー、鈴木洋平氏は「コンテンツとして長く残すため」と映像化の理由を語る。「スマホのゲームは消費のスピードが早く、数年で飽きられる。だがアニメで世界観を描ききり、ストーリーやキャラクターに感情移入してもらえれば、ゲームの足りない部分を補完できて愛着をずっと持ってもらえる」と期待する。
劇場版では、主人公の焔レンと友人たちが友情と絆を武器に、世界を脅かす敵とモンストで戦う姿を描く。ミクシィでは映画をコンテンツの魅力を増幅する戦略の要と位置づけ、米映画「グーニーズ」や「スタンド・バイ・ミー」のような本格的な冒険作品を目指したという。「モンストを知らない人にも楽しんで泣いてもらえる作品になった」(鈴木氏)と自信を見せる。
主に携帯ゲーム機で遊ぶ「ポケットモンスター」などが、アニメ放送や映画化の分野を開拓し、世界に通用する日本発のキャラクターを作り上げた。これからはスマホ向けゲームからも新しいスターが誕生しそうだ。
(諸)
[日本経済新聞夕刊2016年11月30日付]
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