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冬の訪れ感じ、物思いにふける 歩きたい並木道10選

2016/11/26付 日本経済新聞 プラスワン

■樹木本来の凜とした風格

 紅葉が終わるとちょっと冷たくされる冬の並木道。だが実は、この季節ならではの魅力にあふれている。雪化粧した非日常的な景色や凛(りん)とした樹木そのものの風格。そんな味わいが楽しめるスポットが全国各地にある。

 杉や松など常緑樹は冬でも緑を感じられる。葉を落とした木々の散歩道は物思いにふけるのにもってこいだ。そこで冬を先取りし「訪ねてみたい冬の並木道」を専門家に選んでもらった。

 冬の並木道というとイルミネーションが美しい道が数多くあるが、今回はその要素は除いて、樹木本来の魅力を重視して選考した。

 1位は2020年の東京五輪に向けて整備が進む神宮外苑のイチョウ並木。冬の散歩道にふさわしい造形美が評価された。次いで四季折々の魅力が詰まったマキノ町のメタセコイア並木。3位の京都・嵯峨野の竹林は唯一、選者10人全員がベスト10に入れた。暖かい格好をして、冬の並木道に出掛けてみよう。

1位 神宮外苑のイチョウ(東京都新宿区・港区) 570ポイント
都心の風物詩、遠近法で絵画館が立体的

 青山通り(国道246号)から明治神宮外苑の聖徳記念絵画館に向かって続く約300メートルのアプローチ。左右の歩道がそれぞれ並木で、計4列から成る「イチョウ並木の代表格」(河村亮太さん)だ。イチョウは東京都の木で、日曜・祝日は歩行者天国になる。青山通りから背の高い順に並べ、遠近法によって中央の絵画館が実際よりも遠く立体的に見えるように設計されている。

 黄色く色づく秋の景色が有名だが「落葉した歩道を歩くと冬の訪れを感じる」(目黒敏久さん)。「冬でも絵になる風景」(雨宮健一さん)で「ギンナンを拾う姿も都心の風物詩」(井門隆夫さん)だ。外苑内には明治神宮球場が隣接し、2020年東京五輪メーン会場の新国立競技場が整備中だ。

 (1)東京メトロ銀座線外苑前駅、青山一丁目駅(2)03・3401・0312(明治神宮外苑)

2位 マキノ町のメタセコイア(滋賀県高島市) 520ポイント
圧巻の500本 そびえる幹と繊細な樹形

 琵琶湖の北西に位置するマキノ町(現・高島市マキノ町)は全国初のカタカナ名の自治体。約500本のメタセコイア並木が、マキノ高原マキノスキー場に向けて2.4キロ真っすぐに続く。春夏は緑、秋は赤、冬は白に染まる。「山々とのコントラスト、アップダウンがある道もフォトジェニック」(寺澤秀治さん)。植樹に関わったマキノ高原観光前社長の青谷佐智男さんは「クリ園を守る防風林として1981年に植え始め、町全体で整備している」と話す。「高さ30メートルにそびえる幹と対照的に繊細な樹形の並木を進めば、冬の訪れを実感できる」(徳田千夏さん)。「晴れた冬の青と白のコントラストは感動的」(河村さん)。

 (1)JRマキノ駅(2)0740・28・1188(マキノ駅観光案内所)

3位 定禅寺通りのケヤキ(仙台市) 460ポイント
雪に彩られた巨樹のトンネル

 仙台市の都心部を東西に貫くケヤキ並木で「杜(もり)の都のシンボルロード」(井門さん)。第2次大戦で焦土と化したが、戦災復興事業として整備され、1967年に電線を地中化、77年には国内外の彫刻作品を遊歩道に設置した。「道路空間の演出も見もの」(石田東生さん)と設計上の工夫も評価された。冬の夜は「光のページェント」が圧巻だが、雪に彩られた昼間の巨樹のトンネルも美しい。通り沿いには飲食店が並び、観光的にも楽しめる並木だ。

 (1)地下鉄南北線勾当台公園駅(2)022・214・8260(仙台市観光課)

3位 嵯峨野の竹林(京都市) 460ポイント
竹林の音風景と濃密な歴史

 同じく3位に入った嵯峨野の竹林は、嵐山や世界遺産の天龍寺の北側に約200メートル続く。濃密な歴史の時間と空間を閉じ込めたような常緑の竹林だ。「空の青と竹の緑を見ると寒い冬でも元気になる」(雨宮さん)。12月9日からの「京都嵐山花灯路」では「ライトアップされた竹が古典の世界にいざなう幻想美を見せてくれる」(中尾隆之さん)。日中はごった返すので早朝と夕方がおすすめ。「凜とした竹林に風が吹けば、葉がこすれ合う音風景に出合える」(富本一幸さん)。

 (1)嵯峨野観光線トロッコ嵐山駅(2)075・213・1717(京都市観光協会)

5位 角館・武家屋敷通り しだれ桜(秋田県仙北市) 410ポイント
雪の華と黒塀 江戸の風情色濃く

 桜の町として知られる仙北市角館(かくのだて)。武家屋敷通りのしだれ桜約400本のうち、162本が天然記念物だ。冬季は「花の盛りに劣らぬ雪の華と黒塀のコントラストが墨絵の世界にいざなう」(中尾さん)。「冬はすべての音が雪に包まれ、江戸時代にタイムスリップしたように感じる」(寺澤さん)のも魅力。「厳しい東北の冬を力強く越えて暮らす、角館の当時の香りまで運んでくれそうな風情がある」(徳田さん)。東京から新幹線で行けるアクセスも良く、観光地としての評価が高い。

 (1)秋田新幹線角館駅(2)0187・54・2700(角館町観光協会)

6位 熊野古道大門坂の杉(和歌山県那智勝浦町)

 日本三大古道の1つ、熊野古道を通る大門坂。聖地である那智山に向けて石段と石畳が続き、両側には樹齢約600年の杉の巨木が並ぶ。世界遺産の古道は冬でも緑を保つ。「杉並木と石畳のコントラストはまさに聖地に向かうたたずまい」(富本さん)。昼でも暗い参道は修行僧のための道だ。「歴史に思いをはせながら歩くといい」(岩佐十良さん)。

 (1)JR紀伊勝浦駅からバス(2)0735・52・5311(那智勝浦町観光協会)

7位 日光街道の杉(栃木県日光市)

 世界最長の並木道としてギネスブックに登録。「1万2千本を超える杉に圧倒される」(石田さん)。「杉並木を見た後は東照宮にも寄りたい」(目黒さん)。

 (1)JR日光線今市駅(2)0288・22・1525(日光市観光協会)

8位 北海道大学のポプラ(札幌市)

 北海道大学のシンボルで札幌キャンパスにある。時計台などと並ぶ観光名所。「老木が凜とたたずむ姿は開拓時代を想起させる」(井門さん)。

 (1)JR札幌駅(2)011・716・2111(北海道大学)

8位 備瀬のフクギ(沖縄県本部町)

 美ら海水族館にも近い備瀬(びせ)にある常緑のフクギ(福木)並木。「厚手の葉でしなやかな森をつくり砂防、防風にも役立つ」(徳田さん)。

 (1)那覇空港から車で約3時間(2)0980・47・3641(本部町観光協会)

10位 旧軽井沢のカラマツ(長野県軽井沢町)

 日本を代表する別荘地。碁盤の目に沿うようにカラマツ林が並び、雪の朝は光が並木に反射する。「最も美しいのは鹿島ノ森周辺」(岩佐さん)。

 (1)JR軽井沢駅(2)0267・42・5538(軽井沢観光会館)

◇     ◇

 ランキングの見方 選者の評価を点数化した。並木名(所在地)(1)最寄り駅(2)問い合わせ先電話番号。写真は、1位・明治神宮外苑、2位・マキノ高原観光、3位・アマナイメージズ、京都・花灯路推進協議会、5位・角館町観光協会の提供。

 調査の方法 専門家の協力で、冬季が魅力的な全国の並木道をリスト化。樹木としての美しさや観光地としての魅力という観点から選者に10位まで選んでもらい、編集部で集計した。選者は以下の通り(敬称略、五十音順)。

 雨宮健一(KNT―CTホールディングス国内旅行部)▽井門隆夫(井門観光研究所代表)▽石田東生(日本風景街道コミュニティ代表理事)▽岩佐十良(「自遊人」編集長)▽河村亮太(日本旅行総研)▽寺澤秀治(写真家)▽徳田千夏(日本ガーデン・コンダクター協会顧問)▽富本一幸(トラベルニュース編集長)▽中尾隆之(旅行作家)▽目黒敏久(昭文社地図編集課長)

[日経プラスワン2016年11月26日付]

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