旬の料理、レシピ動画で手順明快 料理人も監修
「料理を作りたいけど手順がよく分からない」「レシピを読み込むのが面倒くさい」。そんなときに役に立つのが、レシピ動画の配信アプリだ。動画は食材を切るところから出来上がるまで、実際に調理しながら手順を1分程度でまとめたもの。料理レシピサイトの活用は既に広がっているが、より分かりやすいとしてレシピ動画を配信するアプリが目立って増えている。
月に1000本配信
そうしたレシピ動画アプリの中でも、dely(東京・品川)が提供する「KURASHIRU」は動画の本数が多いのが強みで、月1000本のペースで配信している。調理師や栄養士などの料理専門家を20人以上抱え、1日当たり約50本の動画を制作している。動画はレシピの紹介に限らない。食材の切り方や調味料の使い方など、初心者向けに料理の基本を教える動画も充実している。
「文章よりも動画の方が伝わりやすい」(dely広報部の柴田快氏)。文章や写真にはない動画のメリットは、手軽さと分かりやすさにある。
夫婦二人暮らしの会社員、朝日清香さん(36)は「帰宅途中などの移動時間でも気軽に見ることができて、お気に入り保存できるのがうれしい」と話す。難しい手順はレシピを読む込むより、動画で見た方が時間短縮になることは魅力だ。飽きないように動画の長さは1分以内に収めている。
献立に困ったときの助けにもなる。KURASHIRUは旬の食材を使ったレシピや、季節のイベントに合わせたレシピ特集の配信にも力を入れる。11月は、サツマイモを使った料理や、ワインに合うおつまみなどを特集した。
20~35歳の女性をターゲットにしている「C CHANNEL」は、顧客の声を重視する。「1日当たり数百集まる動画に対するコメントを分析し、アプリに反映している」(ブランドマネージャーの奥野紘正氏)という。動画の速度調節から新メニューのリクエストまで、きめ細かく対応している。
海外の料理も
レシピ動画アプリは、ほとんど無料で使えるのが特徴だ。食品メーカーの商品をレシピ動画の中に使う「ネイティブアド」といわれる形をとっているため、利用者にとって違和感や抵抗感は少ない。広告らしい広告が出てこないことも使いやすさにつながっている。
例えばスタートアウツ(東京・港)は、ヤマサ醤油の「昆布つゆ」を使ったお好み焼きのレシピを考案し、同社のアプリ「mogoo」で紹介。動画に商品を登場させ、自然な形での広告にもなっている。
KURASHIRUや、C CHANNEL、mogooは国内の消費者をターゲットにしており、料理と味付けは日本人好み。一方で、海外発のレシピ動画アプリは多彩な料理で違う楽しみを提供する。
ドイツのベルリンで開発されたアプリ「Kitchen Stories」は、世界中に投稿者がいる。このためイタリアやドイツ、タイ、トルコ料理など世界のさまざまなレシピが手に入るのが特徴だ。日本人向けにアレンジされたものでなく、本場の味を再現できる。
テレビ番組や本・雑誌、利用者投稿型のウェブサイトなどから豊富に入手できるレシピ。手軽に楽しく見られるレシピ動画アプリを加えて、旬の料理を楽しんでみては。
(証券部 野村優子)
[日本経済新聞夕刊2016年11月24日付]
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