バッハ・古楽・チェロ アンナー・ビルスマ、渡邊順生著
古い譜面から原典に迫る
名のあるクラシックの作品は、これまで数かぎりなく演奏されてきた。あるべき奏法についても、おびただしい試みがつみかさねられている。たいていの演奏者は、ぶあついその歴史をわきまえたうえで、自分の途(みち)をさぐろうとする。
古楽運動を早くからひきいたチェロ奏者のビルスマは、その常套(じょうとう)をしりぞけた。後世がくりひろげた解釈史から背を向け、原典そのものに肉薄しようとする。自筆譜もふくむ古譜へわけいり、作曲家じしんの指示をひろいだす。今の譜面は、けっこうモダン奏法の都合で、書きなおされているらしい。
同時代の群小作曲家がのこした譜面も貴重。後世の改変がないため、往時へせまるてがかりになるという。
★★★★
(風俗史家 井上章一)
[日本経済新聞夕刊2016年11月24日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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