時限病棟 知念実希人著
脱出ゲームかつ医療ミステリ
そこは廃墟(はいきょ)になった病院。閉じこめられた男女5人。6時間後に爆薬がセットされ、或(あ)る事件の真犯人を究明しなければ脱出できない。見も知らぬはずのメンバーだったが、隠れた関係が次第に明らかになる。
監禁リアル脱出ゲームと犯人当てパズルの合体。この著者の得意技が見事に決まった。
ゲーム・モード一色に腰の引ける読者は多いかも。だが後半にいたると「小説」の奥行きに納得する。なぜ病院が舞台なのか。過去の或る事件の深層には何があったのか。うむ、これはじつは医療ミステリなのだ。
著者は、本書と『あなたのための誘拐』と、人工的ゲーム色の強いサスペンスを書き下ろしで連発した。純度も重量もこちらが上。
★★★★
(評論家 野崎六助)
[日本経済新聞夕刊2016年11月17日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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