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 取引先との商談でカバンから名刺を取り出そうと思ってもなかなか見つからない。いつの間にか資料が増えすぎ、バッグが重くぱんぱんに。こんな経験をした人は多いだろう。カバンの中をスッキリと整理し、スマートに使いこなすポイントを探った。

この春、大阪市の繊維会社に就職した新入社員の女性。記念にブランドのバッグを買ってもらった。以来半年余り。バッグの中は会社の書類や化粧品、ペットボトルなどがぎっしり。「とても人には見せられない」とバッグを抱え込む。

こうならないにはどうすべきか。片付け専門のコンサルティング会社、スッキリ・ラボ(東京・大田)の小松易代表にコツを聞くと、「まず中のモノを全部出し、何が入っているか把握すること」とアドバイスが返ってきた。

まず把握・厳選

カバンの底の方から筆記用具が何本も出てくることはよくある。「中がごちゃごちゃというのはカバンの中身を把握していない証拠。入っていると思っていても、実は忘れ物があったり、見つからないから余分に買ったりする」

カバンからボールペンや鉛筆が何本も出てきたら、「必ず使う2、3本に絞り込む」。書類なども、その日の仕事に合わせて見直せば無駄なモノを持ち歩かずに済む。移動時間などに読む本も「普段は文庫や新書でも、出張時は、電子書籍に変えれば荷物が増えない」(小松さん)。

絞り込んだ荷物をカバンに収納する前に小松さんが実践していることがある。使用の頻度や目的に応じて「1軍、2軍、3軍に分類する」作業だ。例えばカードの場合、毎日使う定期やクレジットカードは1軍、たまにしか使わないポイントカードなどは2軍、出張用は3軍。その日の行動に合わせて、カバンに入れるカードを決める。

収納にもコツがある。ポイントは縦方向を意識すること。横に積み上げるように収めると、下に荷物がたまり、見つけるのに時間がかかる。書類や財布、パソコンなどを縦に立たせるようにすれば、「上からのぞいた際に、何がどこにあるか一目で分かる」(同)。

カギや名刺、文房具などの小物は、バッグの中に定位置を決めよう。そして「取り出したら必ず定位置に戻す習慣を付けることがきれいさを保つコツ」(同)だ。

中に「ゴミ箱」

男性に比べ、女性は化粧品など荷物が増えがち。複数のポーチに小分けすればカバンが膨らむ。整理収納アドバイザーの西口理恵子さんは「細かく小分けし過ぎるのは逆効果」と指摘する。

ワンアクションで取り出せるよう、カバンの中身を整理する西口さん

ワンアクションで取り出せるよう、カバンの中身を整理する西口さん

西口さんは、複数のポケットが付いたバッグインバッグをカバンに入れている。小物は文房具、化粧品などに大分類してまとめ、決まったポケットに収納。「こうしておけばバッグを開け、ワンアクションで必要なものにたどり着ける。小物はほぼすべてバッグインバッグの中なので、それ以外を探す必要がない」

探し物を楽にするには、「バッグの中のカラーコーディネーションにも気を使いたい」という。バッグも小物入れも同系色を選びがちだが、黒の裏地に、黒の小物入れでは目立たない。バッグの中で埋没しないかどうかを基準に色を選べばいいだろう。

いつの間にかバッグの中にたまってしまうレシートやチラシはどうすればいいのだろう。西口さんはバッグ内に「ゴミ箱を用意している」。といっても、専用の箱や袋を入れているのではない。「ゴミを入れるポケットを決めている」のだ。不要なレシートや紙類はこのポケットに入れ、帰宅後にすぐ捨てる。

中身の整理に合わせ、カバンそのものの選び方も見直したい。東京・銀座にある創業140年のカバン販売の老舗、銀座タニザワの鈴木政雄常務は「使うカバンに愛着を持つことが基本」と話す。カバンがぱんぱんになるほどに荷物を詰め込むと皮が伸び、形崩れの原因となる。荷物を詰めたままでは、蒸れやカビの原因となる。

気に入ったカバンがあれば、同じ型の製品を使い続ける方法もある。同じ型なら持ち物の定位置を決めやすい。その際、少し小さめのバッグを選ぶことが、荷物を増やさないコツという。

西口さんは「カバンは持ち主の人柄を映す鏡。カバンは常に見られている」と話す。それを意識することが大切で、堂々と人に見せられるカバンを目指したい。

[日本経済新聞夕刊2016年11月14日付]

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