ヘナヘナ野菜、食べてOK? おすすめの調理法は…
冷蔵庫に残ってしまったヘナヘナの野菜を食べていいものかいつも迷います。へたってもそこそこおいしく食べられますか。そんな場合におすすめの調理法を教えてください。
味噌汁や濃い味の煮物に
使いかけの野菜を冷蔵庫に入れたまま、気づいたら変色していたりしなびていたり。野菜が高騰しているだけに「捨てた方がいいのかもしれないけど、もったいない」とためらう気持ちも出てくる。賞味期限を書いていない野菜には「この状態で本当に食べていいものだろうか」と悩む人も多いだろう。野菜料理研究家のカノウユミコさんは「多少傷んでいても大丈夫。野菜はそんなに神経質にならなくていい」と言う。
変色したりカビが生えたりしている部分は切り落として中がきれいなら大丈夫だ。しなびたりスカスカになったりしても加熱料理で生き返る。ただし、酸っぱい臭いや異臭がしたらアウト。ジュクっととけたりぬめったりするものもゴミ箱行きだ。この基本原則4点はしっかり頭に入れておこう。
では水分が抜けてしまった野菜をどう調理するか。皮がシナシナになった大根やカブは厚めに皮をむき、味噌汁やいため物、濃い味の煮物に使うといい。ゴボウはすが入っても香りはあるので、厚めに皮をむき、細かく切って味噌汁や炊き込みご飯に入れるとおいしく食べられる。
「スカスカのゴボウとニンジンなら細切りにし、水で戻してからきんぴら風に調理するといい」とカノウさん。香りが抜けている分、鷹(たか)の爪などでアクセントをつけることをすすめる。
ヘナヘナになったホウレンソウや小松菜は味がしみやすいので、そのまま味噌汁に入れたり濃いめの煮汁で煮たりするといい。カノウさんのおすすめは油揚げを加え、だしとしょうゆ、みりんでササッと煮た煮浸しだ。フニャフニャになったナスは水が出ないのでいため物に向く。ヌメリの強くなったネギもチゲ鍋やスープに使うなど「アイデア次第で無駄にせずに済む」。
タマネギは傷みがあれば、その部分をごっそり取り除く。シニア野菜ソムリエ、高崎順子さんは「中がスカスカしたタマネギは天ぷらに好適。水分が抜けているから油はねが少ない。できあがりもべちゃべちゃせずカラリと揚がる」と話す。
シナっとしたキャベツは浅漬けでもみキャベツに、しなびたキュウリは味がしみこみやすいので「丸ごと1本浅漬けにしてもいい」と野菜料理家の庄司いずみさん。カノウさんは「輪切りにしてごま油としょうゆなどをかけて一晩置くと味がしみておいしい」と助言する。
下処理・冷凍で延命
野菜は保存次第で延命できる。料理研究家、りんひろこさんのおすすめは、大きめのポリ袋に入れてクリップでしっかりと密閉し、冷蔵庫に保存するやり方。「ゴボウはぬらしたキッチンペーパーを巻いてからポリ袋に入れて」。カボチャは買ったらすぐ種とわたを取り、切り口にラップをして袋に入れるといい。
もっと積極的に延命させたいなら「軽い下処理後に冷蔵」「冷凍」「干し野菜にする」という保存法がおすすめ(左図参照)。
「大半の野菜は冷凍OK。手軽に長く保存できる」と日本野菜ソムリエ協会の井上麻知子さんは推奨する。ショウガはスライスして冷凍すれば、必要なときにポキポキと折って使えて便利。足が早いキノコ類は特に冷凍がおすすめだ。「いろいろなキノコを同じ大きさに切って冷凍しておけば、味噌汁や炊き込みご飯、スープなどにすぐに使える」(高崎さん)
野菜は使いやすい形に切り、素早く冷凍できるようフリーザーバッグに平たく並べるのがコツ。「解凍した大根は繊維が壊れて軟らかくなるので、ふろふき大根も10分でできる」(庄司さん)
「1個切ったら、ついでに残りもすべてカットして下処理や冷凍をしておけば、あとが簡単。時短料理に直結する」と高崎さんも強調する。野菜を無駄にせずに済むのだから、まさに一石二鳥だ。
(福沢淳子)
[日経プラスワン2016年11月12日付]
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