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抗生物質投与を管理 薬剤耐性菌の発生防げ

専門チーム、量や期間をアドバイス

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NIKKEI STYLE

抗生物質が効かない薬剤耐性菌が世界で猛威をふるっている。日本も例外でない。最近も病院で100人以上が感染した事例が発生。集団感染は後を絶たない。どう耐性を持つのを防ぐか。注目されているのが患者の菌を調べ、主治医に薬や使用量の変更を促す専門チームだ。発生要因の抗生物質の不必要な投与をなくすための取り組みだ。

9月下旬、昭和大学病院(東京・品川)で、がんのため入院中だった60代男性が突然、高熱を出した。抗生物質を投与したが詳細な原因は不明だ。「点滴で菌がうつったのではないか」。こう指摘したのが、同病院の「抗菌薬適正使用支援チーム(AST)」だ。

チームの責任者、詫間隆博医師が血液培養で検出された菌を分析。点滴の針を患者に刺す際に肌などに付着した菌が体内に入る珍しい経路が疑われた。主治医は報告・提案を受けて別の針に変え、菌により有効な抗生物質に切り替えた。翌日には患者の熱は下がり、容体が安定したという。

主治医任せにせず

チームは2013年に発足した。感染症専門医の詫間医師や研修を受けた薬剤師、臨床検査技師ら約10人で構成する。重い感染症の症状がある患者すべての菌を調べ、感染症を特定。客観的な立場で普段から患者のカルテに目を通し、主治医の診断や投与薬の種類・量・期間をチェック。問題があれば変更を促す。

過剰に投与すると細菌への効き目が弱まったり、全く効かなくなったりする。これが耐性菌だ。ASTは主治医に薬などの見直しを提案し、菌が耐性を持つのを防ぐのが役割だ。詫間医師は「感染症に詳しくない医師は多く、投与が不適切な場合もある。別チームで菌を調べ、無駄な投与を減らす必要がある」と話す。

抵抗力が落ちた入院患者や高齢者が耐性菌に感染すると、重症化する恐れがある。医師や看護師らが保菌した患者に触れ、消毒せずに他の患者を処置するなどして院内で広まる。

14年3月、国立病院機構大阪医療センター(大阪市)でそれまでの3年半に患者110人超が院内感染したことが発覚。複数に耐性がある多剤耐性菌が検出され、死者も出た。こうした院内感染はなかなか無くならない。

まん延を防ぐため取り入れられているのが感染制御チーム(ICT)だ。厚生労働省は12年度からICTなどがある医療機関に診療報酬上の加算を設けており、14年7月時点で約3700カ所が対象になった。

製薬会社も対策

東邦大学医療センター大森病院(東京・大田)は07年にICTを発足。週1回、注射器など廃棄物の放置がないかや、スタッフが処置前後に手洗い・消毒しているかをチェックしている。病棟ごとの感染者の増減にも目を配る。同大学の石井良和教授(感染制御学)は「地道に消毒などを徹底することが感染拡大防止への近道」と語る。

ただ国内では投与する抗生物質を専門的に管理し、主治医に助言するASTを置く病院は少ない。昭和大学医学部の二木芳人教授(臨床感染症学)は「中心となる感染症専門医が1500人ほどしかいない。ASTが10年ほど前から広がった米国のように、専門知識を持ち主治医に意見できる薬剤師を育ててチームを増やすべきだ」と話す。

製薬会社も無縁ではない。塩野義製薬は「感染症薬適正使用推進室」で耐性菌などの最新情報を学会や医療現場などから収集。自社サイトや医薬情報担当者(MR)を通じ医療関係者に発信する。

専門医が臨床検査技師に正しい耐性菌の分析法を講義する場も設ける。同室の高野泉室長は「製薬会社にとっても重要な課題。病態や重症度に応じた適切な使用を呼びかけたい」と話す。

◇     ◇

抗生物質 国内使用量 3割減目標に

海外の研究では2013年に薬剤耐性菌が原因で亡くなったのは世界で70万人で、50年には1千万人へと爆発的に増えると試算されている。

4月には耐性菌問題を話し合うアジア・太平洋地域の閣僚級会合が東京で初開催され、行動計画の策定を進めることなどで一致した。これに先駆け日本政府は計画をまとめ、抗生物質の国内使用量を20年までに13年比で約3割減らす目標を掲げた。

耐性菌の代表例はペニシリンに耐性がある肺炎球菌(PRSP)や、メチシリン耐性を持った黄色ブドウ球菌(MRSA)。国内の検査では肺炎球菌や黄色ブドウ球菌の約5割に耐性が確認され、その割合は先進国の中で高い。計画では20年までにそれぞれの耐性菌を15%以下、20%以下にするとしている。

一方で対策が「数値目標ありき」にならないよう注意を促す声も。東邦大学の石井良和教授は「長めに抗生物質を使用したほうがよい場合もある。適正に使えば無駄な投与は自然に減るはずだ」と指摘する。

(吉田三輪、鈴木慶太)

[日本経済新聞朝刊2016年10月16日付]

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