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石垣・構造… 訪ねてみたい「一芸に秀でた」城10選

 
日経プラスワン

2016/10/8付 日経プラスワン

函館市の五稜郭

■凝った石垣や構造 ロマンが眠る

 戦国ブームや外国人観光客に支えられ、城人気が続いている。立派な天守閣を持つ城もいいが、最近注目されているのが凝った石垣や独自の構造など「一芸に秀でた」城郭だ。

 よく知られる「日本百名城」は日本城郭協会が2006年に選定し、観光スポットとして定着している。実は同協会は17年4月6日(城の日)に百名城に加えて「続百名城」を公表する。現在、選考作業中だ。

 そこで今回は専門家の協力を得て独自にリストを作成して、訪ねてみたい特徴のある城に焦点を当てた。江戸時代以前に建設され、現代まで保存されている姫路城や松本城などの現存12天守はあえて除いている。

 1位は日本初のヨーロッパ式城塞である五稜郭。次いで北陸新幹線の開業で行きやすくなった金沢城。ともに観光地としても有名で、10人中7人がベスト10に選んだ。3位の中城(なかぐすく)城と8位の座喜味(ざきみ)城は、古代ローマのコインが見つかった勝連城などとともに沖縄の世界遺産群の一つ。城には歴史のロマンが眠っている。

1位 五稜郭(函館市) 500ポイント
西洋に追いつけ、幕末の魂息づく一番星

 徳川幕府の命を受けた蘭学者が設計を手掛け1864年に完成した。「幕末に西洋流の城郭技術を取り入れようとした姿勢とその様子がそのまま残っている」(加藤理文さん)。12月~2月は夜のイルミネーションがある。五稜郭タワーの大場泰郎営業部長は「美しい夜景と五稜郭の光が彩る函館の夜の魅力を体感してほしい」と話す。春には1600本のソメイヨシノが咲く桜の名所で「タワーから見る巨大な星形の城郭は見事」(中村敬さん)。

 北海道新幹線の新函館北斗駅から近く「街並みとのマッチングが非常に美しく、何度でも訪れたい」(河村亮太さん)。「函館の家々の明かりを背景に、暗闇の中に彩られた星形の城郭が浮かび上がる様は圧巻」(大下孝枝さん)だ。

 (1)函館市電五稜郭公園前から徒歩約15分(2)五稜郭タワー840円(3)0138・21・3456(函館市文化財課)

2位 金沢城(金沢市) 460ポイント
加賀百万石、時代重ねた石垣の博物館

 1583年、前田利家の入城後、金沢城の本格的な石垣作りが始まったといわれる。「石垣の博物館と呼ばれるほど、様々な時代の石垣を見ることができる」(河村さん)、「加賀百万石の城として独特の文化が栄え、石垣研究に役立つ」(田中邦煕さん)など石垣への評価が際立つ。城壁の美しさだけでなく「鉄砲を撃つための『鉄砲狭間(はざま)』や石を落とす出窓の『出し』などを親子で発見しながら楽しめる」(大下さん)。北陸新幹線の開通でアクセスが向上し「隣接する兼六園や21世紀美術館と併せて訪ねるとよい」(岩佐十良さん)。

 (1)JR金沢駅からバス約15分(2)一部除き無料(3)076・234・3800(金沢城・兼六園管理事務所)

3位 中城城(沖縄県北中城村) 430ポイント
流麗な石組み、琉球王国へアーチ

 沖縄サミットが開かれた2000年に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録された。「グスク」は沖縄の言葉で城。「グスクを語る上で外せない」(小和田哲男さん)と評される城郭だ。「石灰岩を用い、小高い尾根を石積みで囲う」(田中さん)独自の工法。江戸末期にはペリー提督も訪れ「エジプト式」と評した精巧なアーチ型の門がある。城郭内には2つの井戸がある点も見どころ。柔らかい曲線の石垣など本土の城郭とは一線を画す。太平洋と東シナ海を望め「石垣越しに見える海が絶景」(中村さん)。

 (1)沖縄自動車道路・北中城ICから約10分(2)400円(3)098・935・5719(中城城跡共同管理協議会)


4位 会津若松城(福島県会津若松市) 410ポイント
日本の歴史の礎、戊辰戦争を学ぶ

 地元では「鶴ケ城」の名で親しまれている。「戊辰戦争を象徴する城」(黒田基樹さん)。天守閣がある城の内部は博物館になっており、体験型の学習ができる。「遊女の歌や踊りに励まされてやっと動かしたという巨石『遊女の石』など様々な技法の石垣も楽しめる」(小栗さくらさん)。2011年に復元された「赤瓦をまとった姿は品格がある」(岩佐さん)。

 (1)JR会津若松駅からバス約20分(2)410円(3)0242・27・4005(鶴ケ城管理事務所)

5位 山中城(静岡県三島市) 300ポイント
アートのよう、城壁の防御地形を深掘り

 緑豊かな城跡公園として整備されている。小田原城を守るために建てられたが、豊臣秀吉の攻めに半日で落城したといわれる「小田原合戦を象徴する遺跡」(黒田さん)。巧みな防御の仕掛けである畝堀(うねぼり)と障子堀(しょうじぼり)が有名。「アートとしても楽しめる北条流築城術の城」(小栗さん)で、歴史面でも技術面でも評価されている。

 (1)JR三島駅からバス約30分(2)無料(3)055・983・2656(三島市商工観光課)

6位 石垣山城(神奈川県小田原市)

 豊臣秀吉が80日で築城した、関東初の総石垣の城。一夜で築城したかのように見せかけたとの伝説から「一夜城」の名でも親しまれている。「関東でこの時代の石垣が見られることに感動する」(萩原さちこさん)。

 (1)JR早川駅から徒歩約40分(2)無料(3)0465・33・1583(小田原市みどり公園課)

6位 名護屋城(佐賀県唐津市)

 豊臣秀吉が朝鮮出兵の際に拠点として築いた。「秀吉の権勢とその後の破城の状況がよくわかる」(小和田さん)という、秀吉ファン必見の城。博物館が整備され、玄界灘も望める。

 (1)JR西唐津駅からバスで約40分(2)無料(3)0955・82・4905(名護屋城博物館)

8位 座喜味城(沖縄県読谷村)

 中城城とともに世界遺産。「琉球独特の曲線の石垣とアーチ型の門が美しい」(加藤さん)。

 (1)沖縄自動車道・石川ICから約20分(2)無料(3)098・958・3141(読谷村文化振興課)

9位 米子城(鳥取県米子市)

 山陰で最初の近世城郭。「近年発掘された、山腹からの侵入を防ぐ登り石垣は日本一」(萩原さん)との声も。

 (1)JR米子駅から徒歩約15分(2)無料(3)0859・23・5436(米子市文化課)

10位 小諸城(長野県小諸市)

 城下町よりも低い位置にある「穴城」。城跡を公園として整備した懐古園は見どころ満載。桜と紅葉の季節も美しい。

 (1)しなの鉄道・JR小諸駅すぐ(2)懐古園500円(3)0267・22・0296(小諸市懐古園事務所)

◇     ◇

 表の見方 数字は選者の評価を点数化。名称、所在地(1)最寄り駅(2)大人1人の料金(3)問い合わせ先電話番号。写真は1位・五稜郭タワー、3位・沖縄観光コンベンションビューロー、4位・会津若松観光ビューロー、5位・静岡県三島市の提供。

 調査の方法 専門家の協力で全国の特徴ある40の城郭をリスト化(現存12天守は除く)。(1)城郭の魅力と景観の美しさ(2)歴史的な意義づけや建築物としての際立った特徴(3)観光地としての魅力――の観点から選んでもらった。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。

 岩佐十良(「自遊人」編集長)▽大下孝枝(いこーよ編集部)▽小栗さくら(歴史タレント)▽小和田哲男(公益財団法人日本城郭協会理事長)▽加藤理文(城郭研究家)▽河村亮太(日本旅行総研)▽黒田基樹(駿河台大学教授)▽田中邦煕(工学博士)▽中村敬(阪急交通社)▽萩原さちこ(城郭ライター)

[日経プラスワン2016年10月8日付]

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