英会話・資格講座… 秋の夜長にスキルアップ
まずは体験入学
15年以上、英会話教室で学び続ける串宮平恭さん(中)(東京都中央区のイーオン銀座校)
日本アイ・ビー・エムに勤める串宮平恭さん(56)は英会話学校大手のイーオンの教室に通って15年がたつ。クラスメートに同じようなビジネスマンが何人かいて話が合った。授業後、飲み屋で親睦を深めたり、スキー旅行に出掛けたりした。「長続きしたのは仲間がいたから」と話す。
生涯学習に詳しい京都造形芸術大副学長の本間正人さんも、仲間をつくることが長続きのコツと指摘する。飲み会も楽しみの一つになり、通い続ける動機づけになる。ただ、傷をなめ合うような後ろ向きの関係は上達しない。「卓球の福原愛選手と石川佳純選手のように、良きライバルであり励まし合う仲間でもある関係がベスト」と話す。
さらに本間さんは習い事のことを周囲に公言するのも効果的と言う。特に日本人は達成できなかった時に恥ずかしいと考え、公言しない人が多い。「意志の弱い人ほど、公言して自分をやらざるを得ない状況に追い込んだほうがいい」
自分にご褒美
短期の目標を設定し達成したら、その都度自分に褒美を与える方法も有効だ。例えば最終目標を達成したらハワイ旅行、目標の半分に達したら北海道旅行という具合。女性なら美容サービスを自分におごってもいい。「富士登山でもとりあえず8合目まで登る目標を定めれば頑張れる。だらだら登り続けるのが一番つらい。時には一息付ける踊り場も必要」と本間さん。
習い事の授業料はけっして安くない。もし、途中で挫折したら、支払った授業料が無駄になってしまう。そうならないためにもその習い事が自分に合うかどうか慎重に選ぶ必要がある。そこで習い事の情報サイト「ケイコとマナブ」のプロデューサー、広田知子さんは体験入学を勧める。
パンフレットだけを見て決めるのは禁物。自分に合ったスタイルかどうか、授業の雰囲気、先生や生徒の質はどうかなど、実際に自分の目で確かめることが大事だ。さらに広田さんは「どんな仕事をしている人が受講者に多いかも尋ねたほうがいい。自分と同じような仕事の人が多ければ、通い続けられると判断する材料になる」と指摘する。
仕事が忙しかったり、不規則だったりする人は授業時間を自由に選べることもポイント。毎週決まった時間しか受講できないと、急な出張や残業が入った場合、授業を受けられない。2、3回続けば自然に足が遠のいてしまう。生活リズムや仕事の形態に合う教室を選ぶといいだろう。
どうしても予定が立てにくい人は教室に通うのを諦め、自宅で好きな時間に学ぶ手段もある。通信教育の教科書や動画による学習、インターネット電話「スカイプ」による講師とのマンツーマン指導などだ。
アプリで進捗管理
ただ、独学の場合、教室と違って一緒に学ぶ仲間がおらず、よほど強い意志がないと長続きしない。くじけそうになる気持ちを支えてくれるのが、学んだ時間などを記録するスマートフォン(スマホ)の記録アプリだ。目標達成に向けて勉強の進捗状況が一目でわかるので励みになる。
社会人向け通信教育大手のユーキャン(東京・新宿)教育事業部の初野正幸さんは、通勤時や昼休みなどの「隙間時間」の活用を勧める。帰宅後に勉強しようとしても、疲れていたりお酒が入っていたりすると身が入らないこともある。通勤時や昼休みのように限られた時間に勉強するほうが集中力が増す。「少しでも空いた時間に教科書を読む習慣を身につければ、勉強も苦にならなくなる」
教室での勉強にせよ通信教育で学ぶにせよ、他人がやっているから自分もやろうという、あいまいな動機は長続きしない。明確な目的意識を持っているか、そしてその習い事が楽しいと思えるかどうかがカギになりそうだ。