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「知の作曲家」響く世界観 柴田南雄、和洋の奏法駆使

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今年は作曲家・音楽評論家、柴田南雄(1916~96年)の生誕100年、没後20年。現代音楽から日本の民謡まで幅広い音楽手法を駆使した「知の作曲家」としての功績に着目する公演が相次ぐ。

弦楽器の長大なグリッサンド(音を滑らせるように演奏する奏法)や楽器を手でたたく不思議な音が会場を包む。3日、サントリーホール(東京)で開かれた日本フィルハーモニー交響楽団の定期公演。柴田南雄の管弦楽曲「コンソート・オブ・オーケストラ」(1973年)が上演された。

指揮は世界的に活躍し、日本フィルの正指揮者も務める若手の山田和樹。山田は特殊奏法が使われた前衛作品を的確にさばき、弦の美しい響きを引き出した。

山田は今最も柴田作品の紹介に力を入れている音楽家だ。2004年、柴田作品を得意とする東京混声合唱団にかかわり、作品の奥深さに触れた。「人間や世界、宇宙を考察した壮大でメッセージ性の強い作品。すごい知性を持った作曲家だと感じた」と語る。

合唱でも前衛作品

山田は東混の音楽監督として、柴田作品を折に触れて紹介してきた。しかし、同時代に活躍した武満徹などと比べ、作品の演奏機会は少ない。編成上の理由から演奏しにくい曲が多く、集客の観点からも敬遠されていたためだ。山田は「今年を逃したらチャンスはない」と思い、日本フィルや東混に掛け合い、柴田の記念公演を自ら企画した。

公演は11月7日、サントリーホールで開く。特に27年ぶりの演奏となる「ゆく河の流れは絶えずして」(1975年)は、鴨長明「方丈記」の冒頭の一節を題名に取った交響曲。柴田が「自分の人生における音楽の変遷を曲にした」と語った、演奏時間が1時間近い大作だ。曲の前半に西洋音楽の多彩な音楽手法が用いられ、後半に「方丈記」をテキストとした合唱が登場する。山田は「西洋音楽から日本の和の心まで、柴田さんの思想が詰まった曲」と話す。

柴田作品は歌曲、オペラ、現代音楽など約130曲に上るが、真骨頂は「シアターピース」と呼ばれる合唱作品だ。客席も含めた会場全体を劇場とみなし、合唱メンバーが会場を動き回りながら歌う。楽譜の指示は最小限にとどまり、表現や演出の多くは指揮者に委ねられる。軽井沢周辺の追分節や馬子唄を現地で採取して素材とした「追分節考」や新潟のわらべ歌に基づく「北越戯譜」など約20作品を残した。

民謡にこそ神髄

山田は今月6日、横浜市での東混公演で秋田県横手市の伝統話芸「萬歳」を題材とした「萬歳流し」を指揮した。台本制作など柴田と二人三脚で楽曲にかかわった夫人の柴田純子は「柴田には地方の音楽や民謡こそ他の誰にもまねできない大切なものという感覚があった」と振り返る。

大阪を拠点とする大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団も柴田作品の演奏に力を入れる。7月3日、大阪市のいずみホールで開いた定期公演でシアターピース作品「人間と死」を演奏した。同合唱団を主宰する当間修一は、柴田と親交があった指揮者だ。

同曲はリルケ、宮沢賢治らの死にまつわる文学作品や声明、ラテン語のレクイエム、梁塵秘抄の口伝集などで構成。この日の公演では舞台上の合唱団が次第にばらばらになり、ステージ後方の2階席から厳粛な調べを奏でたり、客席の両側に立った奏者がお経のような声を響かせたりした。「声明にグレゴリオ旋法の音楽や調性のある旋律、ない旋律が入り混じり、観客に一種のエクスタシーをもたらす」と当間は指摘する。

当間が柴田作品を演奏する際に重視するのが「世界は一つ」という感覚だ。「柴田さんは民謡や民族音楽を取り入れる際、どう西洋化するのかではなく、根源的なものをどう融合するかを考え抜いていた」(当間)

東京芸術大で柴田から薫陶を受けた音楽学者の佐野光司は「柴田作品の多様性や音楽と自然を結びつける手法は、今の音楽のあり方を考える上でも貴重だ」と評している。

(文化部 岩崎貴行、大阪・文化担当 安芸悟)

[日本経済新聞夕刊2016年9月12日付]

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