ラグビーをひもとく　李淳●著

著者は『もう一人の力道山』で知られるノンフィクションの書き手にしてラグビーの公認レフェリー。複雑難解とされがちな競技規則を丹念にひもとき、そこからルールの上位に位置する「ロー（法）」と根底をなす「文化」を解説する。

村の祭事を起源とするフットボールは、そもそものゲームが先に存在、その後にルールが生まれた。ラグビーのように激しい肉弾戦の続く攻防にあって「してはならぬ」を列記するのは労力の浪費、成文化されていない精神にこそ魂は宿る。

細部をおろそかにせぬ筆で、なおゲームに影響がなければルール至上となる必要はなしと説く。観戦初心者とラグビー通のどちらにとってもおもしろくてためになる。

★★★★

（スポーツライター　藤島大）

［日本経済新聞夕刊2016年8月25日付］

ラグビーをひもとく 反則でも笛を吹かない理由 (集英社新書)

著者 ： 李 スンイル
出版 ： 集英社
価格 ： 821円 (税込み)

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